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Craft Sake

美吉野醸造株式会社

奈良県

日本酒発祥地の奈良県で自然に寄り添う味わいを醸す蔵

吉野の環境の中でこそ生まれる酒造り

1912年、奈良県吉野に創立された美吉野醸造。地元に根ざした長い歴史を誇り、メインブランド「花巴」を醸成し、その特徴ある味わいはコアなファンに愛されてきています。

 

歴史の長い美吉野醸造ですが、「花巴」としての特徴の際立つ唯一無二ともいえるその味わいは、現在専務である橋本晃明氏が杜氏としてご実家に戻り着任したことに始まります。

 

橋本氏は、「酒は雑味を抑え、香りが高いものがよい」と良きモデルタイプが規定されていることで、その規格にあわせることが重要とされ、醸造環境や米を調達することに疑問を感じ、いろいろ考え経験された末、地元:吉野の環境の中でこそ生まれる酒造りにこだわることにしました。そんな橋本氏の手にかかった酒は、地元を愛するからこそ出来上がったこれぞ「吉野の酒」と言えるのです。

自然に寄り添ったゆえの唯一無二の味わい

「AMARTA」は、「酵母無添加・木桶醗酵・水酛×山廃造り」の特殊な醸造方法によってその唯一無二の味わいを創り出しています。

 

1.酵母無添加

「AMARTA」はもちろん、蔵の商品はすべて酵母無添加。つまり、蔵の中の自然に生きている野生酵母が醗酵を起こしているのです。

通常日本酒では「きょうかい酵母」と呼ばれる研究所の中で培養された優等な酵母を使うことにより、酒質の安定を計ることができます。しかし蔵内の天然野生酵母を使うことで、より複雑な、独特の味わいを生むことができるのです。

また自然酵母ゆえ、年による違いも生まれ、このことはワインではよくある「ヴィンテージ差(年による味わいの違い)」をも愉しむことが出来ます。

 

2.木桶醗酵

「AMARTA」の醗酵は、地元、吉野産の杉から造られた木桶で醸造しています。より多くの手間と労力がかかる醸造方法ですが、湿度の高い吉野では適度な自然のきめの粗さが自然と湿度を調整してくれることになり、材質が酒の味わいに深みと奥行を加えることになります。

 

3.水酛×山廃造り

「AMARTA」は山廃造りで自然の乳酸菌を使い、より手間と時間をかけて丁寧な酒造りの中で深みのあるミルキーなコクと豊かな味わいのある酒ができてきます。そのうえ、通常山廃造りの中で仕込み水を加える段階では水ではなく「水酛(みずもと)」といわれる古来日本酒造りに使われた製法でつくった日本酒を特別に添加。この「水酛」を加えることで、酒にまるでヨーグルトのような爽やかな酸味が加わることになるのです。

 

吉野という地で「農」の延長上にある酒づくり

現在、美吉野醸造は農業生産グループ会社の酒造部門として吉野の農業そのものにも深くかかわられています。

 

1.有機米使用

原料米はすべて契約栽培米で全量買い取りをされています。こちらはもちろん有機栽培米。会社自体が農業生産グループの一員であることから、その地域で造られた米一粒一粒も大切にしたい気持ちを持たれています。

「AMARTA」の精米歩合は70%。決して磨き切っている米ではありません。

しかしこの程度の精米、且つ、総破精(そうはぜ)造りを行うやり方、つまり「米をできるだけ使い切ること」に主眼をおき、その米の旨味を活かすことが酒の味わいにつながってきたと語られます。

 

2.吉野杉を使った木桶

「一目千本」とその山全体が桜におおわれることで有名な吉野において、桜とともに有名なのが「吉野杉」です。

蔵の周りにも杉の切り出し場や加工場などが見られ、この地の主産業のひとつが林業であることが垣間見えます。この吉野杉を酒造りに取り入れることでも美吉野醸造は地域に根ざしておられます。

2023年現在、蔵には5本の木桶があります。昔ながらの木桶を使っている蔵は全国で希少ながらありますが、特に高温多湿の吉野においては、この木桶での醸造が自然に湿度調整を可能とし日本古来の醸造方法からできた酒ゆえにある程度の粗さと木の味わいが酒の強さとバランスがよいのでしょう。

 

同じ風土で営む様々な業者との絆を大切に取り入れることにより、美吉野醸造の酒は根強く吉野のテロワールに入りこんでいることを実感します。

「日本酒」規格枠に収まりきれない魅力溢れた「花巴流貴醸酒 AMARTA」

「AMARTA」の味わい、それは一言でいうと、貴腐ワイン「シャトー・ディケム」のような甘味と酸味が絶妙のバランスで配合された、とろとろと蜜を思わせる甘美な味わいです。

 

この酒を作り上げるには、日本酒でよく「最上」いわれる「純米吟醸」「純米大吟醸」などの規定枠にははまらない酒をつくることになります。

 

一般的に規定は、日本酒をわかりやすくするためのものですが、吉野で、美吉野醸造が自然の中で自然に寄り添って出来上がったものは、この規定で語れない状況に陥ってしまいました。

 

その中で橋本専務が考えたのは「こういった規定は日本酒の味わいやスタイルを理解するにはガイドとして便利ではあるが、それが良酒という約束ごとでもなく、最終的に規定にあてはめることを主軸にすることが美味しい酒造りの必須条件ではない!規定にはまらずとも、その地らしさのある美味しい酒を醸すことで勝負していきたい。」とその橋本専務の言葉の強さは飲むものの心に響くに違いありません。

「甘露」という名をもとにした「AMARTA」

商品名「AMARTA(アマルタ)」はサンスクリット語で「甘露」をあらわす「アムリタ」をもとにした造語です。アムリタとはインド神話に登場する神秘的な飲料の名称で天井の神々が不老不死を願い飲むといわれる甘い露を表すようです。

 

今回美吉野醸造様とコラボするなかで作り上げたお酒は、この「アムリタ-甘露」というものがこの世に存在するならば、まさにこの味ではないか。と思わせるような官能に訴えかけることのできる優美な心地を与えることのできる日本酒に仕上がりました。

 

「アムリタ-甘露」という言葉と美吉野醸造がこだわり、情熱を注いでおられる酒の熟成を表す「マル味」という言葉をかけあわせ、「AMARTA(アマルタ)」という名称が出来上がりました。

「AMARTA」ラベルが表す自然観

ラベル上には吉野の山のふもとにある美吉野醸造の橋本専務が抱く吉野に対する想いを表現しました。

まだまだ大自然あふれる吉野では蔵の周りにもみどりの植物と大台ケ原から端を発し深い淵や早瀬と様を変えながら流れる清流、吉野川や、吉野川が削った吉野山の岩肌など懐深い自然を間近に感じることができます。「AMRITA」はまさにこの自然あふれる豊かな風土の中で生まれたというイメージをラベルに落とし込みました。