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ナチュラルワインで注目の『ペット・ナット』とは?

ナチュラルワインで注目の『ペット・ナット』とは?

ペット・ナットは『ナチュラルワイン』と呼ばれるジャンルの一つです。ナチュラルワインが注目されるにつれ、世界中に広がりを見せています。王冠栓の微発泡のスタイルで、開けやすさと飲み口の爽やかさから人気が高まっています。

ペット・ナットとは

ペット・ナットはフランス語でPétillant Naturel(ペティアン・ナチュール)。英語に言い換えると「ナチュラル・スパークリング」となり、ナチュラルワインの1つのジャンルです。

微発泡の口当たりの優しいスパークリングワインで、多くの場合酵母を除去しないので濁りがあります。

ナチュラルワインの人気とともに火が付いたこのジャンルはいつしか英語圏の人たちを中心に「Pet Nat(ペット・ナット)」と略して呼ばれるようになりました。

ペット・ナットの発祥

ペット・ナットの製法は古く、かつてフランスのシャンパーニュ地方で瓶内二次醗酵方式のスパークリングワインが出来る前からあった醸造方法です。シャンパーニュ(シャンパン)の生みの親といわれるドン・ペリニヨンがブレンドの研究やコルクを使用し始めた1670年以前、スパークリングワインはペット・ナットのスタイルでした。

近年のナチュラルワインブームでは「原点回帰」を目指した醸造法が再注目されたため、世界中のワイナリーがペット・ナットを生産するようになりました。

ペット・ナットの製法

ペット・ナットの古い製法は、もともとアンセストラル方式(田舎方式)と呼ばれていました。通常のワインと同じように収穫したブドウを搾汁したマスト(ジュース)を醗酵させますが、その醗酵途中の段階に瓶詰めを行います。アルコール醗酵を終えたベースワインに糖と酵母を加えて炭酸ガスを造る二次醗酵方式と違う点はここです。ペット・ナットは密閉した瓶内でアルコール醗酵を終わらせて完成します。アルコール醗酵の過程で発生する炭酸ガスがそのままワインに溶けて発泡性がもたらされます。

銘柄ごと、また同じ銘柄でもボトル差によってガス圧や残糖度もまちまちで瓶詰めのタイミングを間違えるとガス圧が強すぎる、澱が大量に出たりするので高品質なものを造るには醸造家のスキルと経験が必要不可欠です。

ナチュラルの観点から添加物を入れないものが多く、亜硫酸無添加の銘柄が見つけれらるのも人気のひとつです。

ペット・ナットの味わいと特徴

ペット・ナットはそのユニークな醸造方法から王冠で栓をされている場合が多く、ワイン用オープナーがなくても栓抜きで開けられる手軽さが魅力的です。甘やかなアロマがあり、ブドウを果実のそのまま頬張ったような旨味や果実味が豊かなものが多いです。甘味があるわけではありませんが、お酒の苦手な方でも飲みやすいです。「ワインは苦手、でもペット・ナットは飲める!」というような方も実際にいらっしゃるのでワイン初心者にも楽しんでいただけます。

通な楽しみ方

ワイン愛飲家の方にも近年のトレンドのスタイルとして注目度が高まりつつあります。その理由はペット・ナットのブドウ収穫からリリースまでの「期間の短さ」にあります。短いことによってボージョレ・ヌーヴォーのようにその年の作柄をいち早く楽しむことができるからです。残糖があり、フレッシュなスタイルなので泡が抜けても美味しく楽しむことができます。一部には泡の抜けたペット・ナットを楽しむ方もいるくらいです。

ペット・ナットの開け方

そんな気軽に楽しめるペット・ナットですが、いくつか開栓時には注意が必要です。開栓した瞬間にワインがあふれてしまうことがあるからです。飲む前によく冷やして、王冠を開ける際はゆっくりと開栓をして下さい。

ペット・ナットは酵母が醗酵活動をしている途中で瓶詰めをすることから、澱とガスの接触で泡がたちやすいのです。折角のワインが半分以上なくなる!?といったこともあり、筆者も何度も泣かされました。だから開栓時は慎重に。一日で飲みきれない場合はシャンパンストッパーで栓をして冷蔵に入れれば2~3日楽しむことが出来ます。

澱を飲んでも大丈夫?

ペット・ナットに入っている澱は飲んでも大丈夫です。アルコール醗酵で生じる酵母のかすで、澱がらみの日本酒や、濁りビールなどにもみられます。体に害はありません。

澱のない澄んだ部分は果実の味わいがクリアに楽しめます。飲み進めるにつれボトルの下部は澱の絡んだワインになることが多いと思いますが、だんだん酵母の風味が混じってまろやかに感じられるようになります。

ペット・ナットを飲むグラス

モトックス社内でペット・ナット好きの人「どんなグラスで飲んでいる?」と聞いてみました。※いろいろな形状のグラスを所有している人たちばかりです。

何も考えていない

これが一番多かった回答。あまりこだわらず、「自由なグラスで楽しめばよい」というペット・ナットのカジュアルさを象徴しているかのようです。大ぶりのブルゴーニュグラスを使う人、小さめの白ワイン用グラスを使うという人もいて様々。

フルートグラスを使う?使わない?

一般的にスパークリングワインを飲むときに使われる、「細長い」グラスを使わない人が多いです。「香りがとりにくそう」「泡が弱めで濁っているので、必要はなさそう」というイメージから。しかし実際にフルートで飲んでみたという兵もいました。曰はく「敢えてやってみました。けっこう美味しかったです。酸味が際立ちます!」という証言も。

理想的なグラスのイメージ

ペット・ナット好きが思う理想のグラスは「香りがとりやすいこと」「ある程度の深さがあること」を満たしていればよさそうです。すぼみのある、小ぶりのグラスが良いのではないかということが一致していました。こだわればスティル(泡のないワイン)の白ワイン用グラスがよいかもしれません。

結論

あなたがお持ちのグラスで自由に楽しむのがよさそうです。ぜひとも気軽にペット・ナットをお楽しみいただければ幸いです。

おすすめのペット・ナット

生産者はアルゼンチンのビオディナミ先駆者。「ブレバ」は夏の無花果を意味します。早摘みのブドウを使用していて、亜硫酸無添加・ノンフィルター。

ボルドーのハンドメイドの生産者。伝統的なフランスの穀物粉と酵母、塩、水だけで作る自然なパン造りにも挑戦中。

ブルゴーニュ地方ボージョレの生産者。人的介入を極僅かに抑えたガメイの無濾過、無清澄ペット・ナット。

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