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UKのワイン事情と音楽の魅力!トム・ミッシュ~音楽×ワイン~

UKのワイン事情と音楽の魅力!トム・ミッシュ~音楽×ワイン~

最近気になる曲に、UK出身ミュージシャンの作品が多い不思議。ワインも目が離せなくなっているイギリス事情とともに、ワインと音楽を合わせて楽しむ連載コラム。筆者はジャズシンガーの東海林美乃梨。




幼い頃から、外国の文化に強い憧れを抱いていた私。食に興味を持ち始めた10代の頃にはイタリアやフランスの料理に憧れ、音楽はJazz、R&B、Hip-Hopなど専らアメリカの音楽に影響を受けた。
そんな私がここ最近気になっている国、それは「イギリス」である。

イギリスの料理は“いまいち”という話を人から聞くことがよくあった。
ワインは消費量が世界トップクラス。でも生産は“いまいち”な国。そんなイメージを抱いていた。
もちろんイギリスが長けている分野は多々あるが、ワイン好き、食好きの私にとっては「行ってみたい国」になることはなかった。
しかし、そんなイギリスのワイン造りが近年世界的に注目を浴びている。
かつてイギリスの気候は低温すぎてブドウの栽培に適していないとされていたが、気候変動と温暖化が進み、ブドウ栽培が可能になったことが一つの要因となっている。
特にスパークリングワインは、フランスのシャンパーニュに匹敵する品質を持つものが産出されるという。
私がワイン業界に足を踏み入れた20年ほど前には、話題にすら上がらなかったのに。

2022年に私が携わったイングリッシュ・スパークリングの生産者『ハッティングレイ・ヴァレー』のオンライン ワイナリーツアーで、その土地や土壌のアドバンテージとイギリスの食文化の現状がよくわった。

関連記事:『ツアーの様子』

あの有名な「アフタヌーンティー」で、イングリッシュ・スパークリングワインを飲むことがトレンドになっているらしい。これまではシャンパーニュが選ばれてきたが、品質の向上により自国のワインを選ぶ人が増えたのだ。

そんな、イングリッシュ・スパークリングの生産者として高い評価を得ている造り手の一つが『ハッティングレイ・ヴァレー』。辣腕弁護士として活躍していたサイモン・ロビンソン氏が2008年に創業した。「自分たちにしか造れない最高のスパークリングワインを造る」という志を掲げ、最新技術と設備、環境に配慮した近代的なワイナリーだ。2022年には世界的な権威「マスター・オブ・ワイン」のロバート・マカロック氏を醸造長に迎え、イギリス指折りの信頼を集めている。

サイモン・ロビンソン氏(右)

長い歴史と伝統の中にあるワイン造りの世界だが、時代の変化に伴って常識やトレンドは変わりゆく。
私にとってワイン文化の”今”を知り、生活に取り入れることは人生を豊かにする為の大事なポイントだ。

音楽においてもそうである。大好きなJazzの、歴史を学び名曲の数々を歌い、それと同時に現代だからこそ生まれる音楽を聴き、追いかけ、自分の中にも音が生まれる。

最近、”今”の音楽を聴いていて気になる楽曲を調べると、イギリス出身のミュージシャンであることが多くなった。
ビートルズやローリング・ストーンズなどが世界で成功を収めている為、私の中ではイギリス=ロックのイメージが強かった。
しかし、それは私の勝手な固定概念であった。
近年有名なところでいうとシンガーソングライターの「エド・シーラン」や「サム・スミス」などが、数々の栄光を収めているのはポップス界だ。
その他にも、R&B、ソウル、Hip-Hopやジャズ...。あらゆるジャンルにおいてイギリス出身のミュージシャンの活躍を目にするのだ。

中でも私のお気に入りは、ギタリストの『トム・ミッシュ』である。
2012年にSoundCloudを通して音楽をリリースし始め、2018年にデビューアルバム『Geography』をリリースした彼。以前に書いたスパークリングワインとのペアリングで登場させた『FKJ』とのコラボレーションでも話題になった。

関連記事:FKJの『VINCENT』

ギターのみならず、甘い歌声や、Hip-Hop、Jazz、Soulの影響を感じるクールなトラックメイキングも私の“ツボ”である。
彼のアルバム『Geography』の中に『It Runs Through Me(feat. De La Soul)』という曲がある。
ギターの軽やかなブラジリアンリズムから始まるこの曲。2年の間ワインと音楽のペアリングを楽しんでいる私にとって、軽快なギターの音色は自然とスパークリングの泡の音に聞こえる。
「あぁ。泡が飲みたい...!」
これはもはや、梅干しを見ると自然と唾液が出るような、「パブロフの犬」現象である...!
そんなことを考えながら『ハッティングレイ・ヴァレー・クラシック・レゼルヴ・ブリュット』をグラスに一杯。そして音楽を楽しむ。曲の終盤に流れてくるラップは、ヒップホップ史に名を刻む大御所アーティスト「De La Soul」によるものだ。イギリスの若きギタリストと、ニューヨークで結成された伝説的なヒップホップユニットとのコラボレーションがまたこの曲の魅力である。

「意外性」というものはいつも刺激的だ。
「イギリスでスパークリングワイン?!」
「アフタヌーンティーにイングリッシュ・スパークリング?!」
「イギリスでJazz、Soul、Hip-Hop?!」
「トム・ミッシュがDe La Soulをフューチャリング?!」などなど…。
私のイギリスへの興味がグングンと増し、好奇心が揺さぶられるのである。

いつの日かイギリスの地を訪れ、イギリスのミュージシャンとイングリッシュ・スパークリングで乾杯できる日を夢見て、今日もワインと音楽のペアリングを楽しむのである...

ペアリング推奨音楽:『It Runs Through Me (feat. De La Soul)』

参考

トム・ミッシュ(Tom Misch)『Geography』甘い低音ヴォイスとメロウなギターに酔いしれる/Mikiki/2023年6月20日閲覧

https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/17616

デ・ラ・ソウル(De La Soul)、ヒップホップを変えた3人――名盤『3 Feet High And Rising』などサブスク解禁6作を徹底解説/Mikiki/2023年6月20日閲覧

https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/33566?page=2

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