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レポート

【世界のワイナリー見学⑨】ウルグアイ / ピッソルノ・ファミリー・エステイツ編

【世界のワイナリー見学⑨】ウルグアイ / ピッソルノ・ファミリー・エステイツ編

モトックスでは、ワインのインポーターとして、ワインの魅力を深く理解し、お客様に最高のワインをお届けするために、定期的にワイナリーを訪問しています。

今回は、ウルグアイのワイナリー『ピッソルノ・ファミリー・エステイツ』をご紹介します。

ピッソルノ・ファミリー・エステイツとは

ピッソルノ・ファミリー・エステイツは、ウルグアイ南部の肥沃な土地で、100年以上にわたり家族でワイン造りを続けている老舗ワイナリーです。

伝統と革新が共存するスタイルで、国内外から高い評価を受けています。

ウルグアイ
ウルグアイ

Pizzorno Family Estates

ピッソルノ・ファミリー・エステイツ

Pizzorno Family Estates


ピッソルノの場所


ピッソルノ・ファミリー・エステイツは、ウルグアイ南部のカネロネス県にあります。

首都モンテビデオにあるカラスコ国際空港からは、車でおよそ30分とアクセスも良く、訪問しやすい場所です。

▽カネロネス県の場所▽

ウルグアイ最大のワイン産地


カネロネス県は、ウルグアイ最大のワイン産地です。

国内で生産されるブドウの約6割がこの地域で栽培されており、隣接するモンテビデオやコロニアを含めると、その割合は非常に高くなります。

一方、ウルグアイ全体を見ても、中央部はワイナリーが少ない地域です。

その理由は、ストーム(嵐)が多く、気象条件が安定しないことや、人口が少なくインフラが整っていないことにあります(実際牛ばかりでした)。

このような背景から、ウルグアイ南部はブドウ畑やワイナリーの集まる地域になっています。

きっかけは三代目の大改革。品質重視のワイナリーへ

ここで少し、ピッソルノの歴史をお話しすると、創業当初のピッソルノは、テーブルワインの生産が中心でした。

しかし1988年、三代目のカルロス・ピッソルノ氏が中心となり、ワイナリーに大きな転機が訪れます。

海外の醸造家を招いたり、地下セラーを新設したりと、品質向上のための改革を次々に実行。

最も印象的なのは、ブドウの収量を大胆にカットしたことです。以前の5分の1まで収穫量を減らすという、品質重視の姿勢を徹底しました。

年間の生産本数は約24万本。そのうち6割が輸出向けで、ウルグアイ国内だけでなく世界中の市場で評価を受けています。

世界が認めた醸造家と、家族が守るクラフトマンシップ

(左)ダンカンキリナー氏 (右)フランシスコ・ピッソルノ氏

ピッソルノの醸造を支えるキーパーソンが、ニュージーランド出身のコンサルティング醸造家ダンカン・キリナー氏です。

南米で長年経験を積み、ウルグアイでのワイン造りにも20年以上携わってきたベテラン。

日本のソムリエ教本にも名前が登場するほど、業界でも知られた存在です。

畑や醸造施設の案内は主にキリナー氏と4代目フランシスコ・ピッソルノ氏にしていただきました。

「温暖なボルドー」に似た気候を活かす


キリナー氏によると、ウルグアイの気候は「温暖なボルドー」に似ているといいます。

中でもピッソルノの畑があるカネロネスの土壌は、ボルドーのアントル・ドゥ・メールに似ており、ソーヴィニヨン・ブランやタナの栽培に向いているそうです。

また、隣国のチリやアルゼンチンのような強い日照や乾燥した気候ではなく、涼しく湿潤な環境なので、低アルコールでフレンドリーなワインが生まれます。

アルバリーニョの果実味と華やかさ


スペイン北西部・ガリシア州を代表する白ブドウ「アルバリーニョ」は、現在ウルグアイでも注目を集めています。

雨が多いという共通点はあるものの、ウルグアイの方がより温暖で湿度も高いため、果実味に富んだ華やかに仕上がります。

タナは育てすぎ注意!?

タナは、とても力強く育つ品種。何もしなければ、1ヘクタールから25トンもの実が収穫できてしまうほどです。

しかし、量を優先すれば質が落ちてしまいます。そのためグリーンハーベスト(間引き)や摘房を行い、収量を約7トンに収めています。

さらに、1990年代後半に植えられた古木のタナもあります。年数を重ねた木ならではの落ち着いた収量とバランスが魅力です。

▽古木のタナ

畑の地形や気候


ピッソルノの畑は、平地またはなだらかな斜面に広がっており、風通しの良さが特徴です。

訪問時(2月=現地の夏)は、気温が高かったのですが、畑を吹き抜ける風は冷たいくらいでした。

おすすめワイン「マユスクラス」シリーズ

ピッソルノ・ファミリー・エステイツのラインナップの中でも、おすすめなのが「マユスクラス シリーズ」です。
(モトックスが取り扱っているのは中央上の「タナ」と「アルバリーニョ」)

シリーズとしては若く、2018年からのリリースです。

どのワインもオーク樽は使わず、フルーティで軽やかな飲み口に仕上げられています。

ラベルデザインもキャッチーで、若い世代をターゲットにしたカジュアルな魅力が詰まっています。

マセラシオン・カルボニックのタナ


中でも注目は、マセラシオン・カルボニックで仕上げた「タナ」。

マセラシオン・カルボニックはフルーティさを引き出す製法で、ノヴェッロやボージョレ・ヌーヴォに使われています。

重厚なタナにこのスタイルを取り入れたのはピッソルノが先駆けだといわれています。

世界も注目。ティム・アトキンMWの訪問も


この革新的な取り組みは、イギリスの著名なマスター・オブ・ワイン、ティム・アトキン氏の目にもとまっています。

毎年ウルグアイを訪れる際にはピッソルノを欠かさず訪問し、とくにマセラシオン・カルボニックで仕上げたタナを試飲していくそうです。

ちなみに、今回の訪問のわずか2週間前にもアトキン氏がピッソルノを訪れていました。

トリップアドバイザーで1位

宿泊施設やレストランも併設されているピッソルノは、ワインツーリズムでも高い評価を受けており、トリップアドバイザーではカネロネス地区内で1位に選ばれています。

ブドウ畑の見学やテイスティング体験が楽しめるだけでなく、現地では生産量の約10%がブティックなどで直売されており、観光とワインが心地よく結びついた場所です。

ホテル内の各部屋には、ウェルカム「マユスクラス」とチョコが置かれていました。

ご紹介したワインは購入可能です

ご紹介したワインはモトックスのオンラインショップ『UNCORK(アンコルク)』で購入可能です。

フォトギャラリー

ピッソルノのレストランでいただいたランチ

モトックスが日本に輸入しているウルグアイのワイナリー、「プロフェクト・ナッカル」、「ピッソルノ・ファミリー・エステイツ」、「セロ・チャペウ」、「ボテガ・ボウサ」の4社合同ディナー

参考サイト:Regions/Uruguay Wine/2025年10月16日閲覧

https://uruguay.wine/en/regions/

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