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ドイツ
ドイツ ファルツ

ヴァイングート・フォン・ウィニング

Weingut Von Winning

ドイツ優良生産者組合【VDP】設立メンバー
歴史的銘醸畑の個性を引き出す造り手

脈々と受け継がれる銘醸ワイナリー

 

ワイナリーの歴史は19世紀初頭、ドイツ南部のファルツ地方で名声を誇った「ジョルダン・エステイト」に遡ります。1848年、この銘醸ワイナリーは、当主の死により3人の子供に分割相続されます。その一人でエステイトの娘夫婦ダインハード家が父親から分割相続した畑をもとに1849年に「ダインハード醸造所」を設立。そして、1907年にはさらにその娘夫婦にあたるフォン・ウィニング夫妻へと継承され、ワイナリー名は「Hauptmann von Winning'sches Edelweingut」に改められました。

 

■偉大な功労者、レオポルト・フォン・ウィニング氏

1907年に継承されたワイナリーは、夫レオポルト・フォン・ウィニング氏の揺るぎない情熱に支えられ、クオリティは次のレベルへと昇華しました。レオポルト・フォン・ウィニング氏は、900年前に皇帝から称号を与えられた貴族の流れを汲む人物ですが、ワイン造りに大変な情熱を注ぎ、現在のドイツ優良生産者組合「VDP」設立の功労者ともなりました(VDPの前身にあたる「Deutscher Weinbauverband」の設立者)。こうして、「フォン・ウィニング」の名前はそのまま優れた品質を表すようになります。

 

第一次大戦までの間、ファルツで最も輝くワイナリーとなりますが、大戦後の1918年、売却されたワイナリーはフォン・ウィニングの名を使用することが許されず、その名称を元の設立者の名であるダインハードに戻し、「Dr.ダインハード醸造所」に改めました。

 

■21世紀、輝きを取り戻す「フォン・ウィニング」
「フォン・ウィニング」の名を冠した現在のワイナリーは、こうした複雑な相続と売却の背景を持つ銘醸ワイナリーに再び命を吹き込むプロジェクトとして、2007年に起業家のアヒム・ニーダーベルガー氏の手により誕生しました。ニーダーベルガー氏は分割でバラバラになってしまっていたダイデスハイムの銘醸ジョルダン・エステイト(Jordan'sche Teilung)を構成していた3つの醸造所、「Bassermann-Jordan醸造所」、「Von Buhl醸造所」、さらに「ダインハード醸造所」を5年の歳月をかけて買い取ります。これら3つのエステイトは独立して運営されていますが、フォン・ウィニング家の流れをくむダインハード醸造所は、ニーダーベルガー氏が同家と非常に親しい関係にあったことから、再び「ヴァイングート・フォン・ウィニング」として蘇り、最高責任者にステファン・アトマン氏を迎え入れることで新たな一歩を踏み出しました。

 

ワイナリーでは「畑の可能性を引き出し、最高品質のワインを造る」ことを哲学とし、クオリティワインを生み出しています。長年受け継がれてきた伝統を重んじるとともに、最新の設備・技術をもってワイン造りに取り組むことで、ドイツワインの新たな歴史を刻み続けています。

美しいワイナリーの建物 美しいワイナリーの建物

フォン・ウィニングの品質を支える二人

■最高責任者ステファン・アトマン氏(写真左)

ワイナリーの方針やワインのスタイルを決定するなど、まさにワイナリーの顔といえるのが最高責任者のステファン・アトマン氏。そんな彼の経歴は非常にユニークです。大学では元々化学と生物学を学んでいましたが、その後ビジネス、政治、教育学に方向転換。マンハイムで一番のワインショップでアルバイトをするうちにワインの虜になってしまい、大学卒業後はバーデン地方のドクター・ヘーガーで見習いとしてブドウ栽培と醸造に携わりました。2005年にはブルゴーニュに移り、天才醸造家として有名なドメーヌ・ダヴィド・デュバンの下で経験を積み、やがてザール地方のドクター・ジーメンスの責任者として迎えられます。

 

アトマン氏の方向を決定づけたのが、2007年、ヴァイングート・フォン・ウィニングの新たなオーナー、ニーダーベルガー氏との出会いです。かつて名声を誇ったワイナリーを見たアトマン氏は「伝統をもう一度蘇らせよう」と決意します。オーナーのバックアップに支えられ、ブドウ栽培や収穫、醸造など、ワイン造りの全てのプロセスに手を加えていきました。これらの姿勢が認められ、「ドイツで最も注目すべきワイナリー」として、フォン・ウィニング醸造所は絶大な支持を集めています。

 

■醸造責任者アンドレアス・ヒューツヴォール(写真右)

フォン・ウィニング復活プロジェクトの立ち上げメンバーのひとり。若き醸造責任者として最高責任者ステファン・アトマン氏の右腕となり活躍しています。ドイツ国内で醸造家として3年間の実習の後、ドイツのガイゼンハイム大学で栽培学と醸造学のディプロマを取得。在学中はフリウリ-ヴェネツィア・ジューリアにも留学し学識を深めました。卒業後はオーストラリアのクレア・ヴァレー、イタリアのサルデーニャ、ドイツで醸造家としての修業を積み、2010年からフォン・ウィニングに参加。ワインへの深い愛情は学問に裏打ちされた深い知識に支えられており、ドイツワインの伝道師として世界各地を訪れ、フォン・ウィニングとドイツワインの魅力を発信することにも熱心に取り組んでいます。料理に対するこだわりも深く、ワインと食事とのマリアージュを大切にする醸造家でもあります。

 

ステファン(左)とアンドレアス(右) ステファン(左)とアンドレアス(右)

思わず息をのむ美しいモチーフ

■クオリティを語る名「フォン・ウィニング」

ドイツ最高峰の品質集団「VDP」設立の立役者ともなった、レオポルト・フォン・ウィニング氏の流れを汲む造り手として、この名を再びワイナリー名とすることは自然な流れでした。品質の証として、ドイツでは現在でもその名が深く人々の心に刻まれています。

 

■ワイナリーのロゴとラベルデザイン

フォン・ウィニングの頭文字である「V」と「W」の文字はレオポルト・フォン・ウィニング氏と同時代、1900年頃に活躍した芸術家エームケ氏によるデザインを採用し、それをモダンに仕上げることでワイナリーの伝統と現在の取り組みを表現しています。数十種類のワインを造るフォン・ウィニングでは、飲み手に覚えてもらいやすいよう、それぞれのラベルにカラフルな色を採用しています。ワインの品質はもちろん、ロゴやラベルデザインも魅力的であり、ワイナリーの情熱と品質を語ることが大切だと考えています。

ワイナリーロゴ ワイナリーロゴ

大量生産とは一線を画す、土地の個性を表現したワイン

「私たちの目標は完全な状態で品種、テロワール、土地(ファルツ)、そしてフォン・ウィニングというワイナリーの個性を表現すること。それはつまり、グラスに注いだ瞬間から楽しんでいただけるワインです」

 

テロワールを重視する姿勢は、「自然を尊重しできるだけ寄り添って働く」というレオポルト・フォン・ウィニング氏の哲学に由来します。レオポルトが残した信念は今も変わることなくワイナリーに受け継がれ、ステファン・アトマン氏と情熱溢れるチームの品質追求により、フォン・ウィニングは高品質ドイツワインの担い手であり続けています。

 

9つのエアステ・ラーゲ(=フランスのプルミエ・クリュに相当)や11を数えるグローセ・ラーゲ(=フランスのグラン・クリュに相当)を含む畑は全て、環境に配慮したきめ細かな手入れが行き届いており、アロマ豊かで高品質なブドウを収穫することができます。ワイナリーにおけるプレミアムワイン造りの鍵は、野生酵母醗酵や自然の清澄作用を促した方法を採用することで、「人間の介入をできるだけ最小限にとどめる」こと。それにより大量生産とは一線を画す、土地の個性を表現するエレガントなワインを生み出すことができるのです。

特級畑ウンゲホイヤー 特級畑ウンゲホイヤー

パワーとフィネス、透明感と緻密さを備えたワイン

「偉大なワインとは、パワーとフィネス、透明感と緻密さを備えているもの。そして飲んだときにそれら全てが感じられる、それが偉大なワインです」

 

これはステファン・アトマン氏がテイスティングする際にしばしば語る言葉です。アトマン氏は、ワインを醸造するときは必ずブドウができた畑の自然を思い描き、セラーでは「ほとんど仕事をしない」状態になるよう努め、自然な醗酵を促します。そうすることで、洗練され、エレガントかつストラクチャーのあるワインを造ることができるのです。彼の信じる偉大なワイン造りはチームに受け継がれ、ワイナリーのスタイルとして確立されています。 

偉大な特級畑のワイン 偉大な特級畑のワイン

独特のミネラルを育む、世界的なリースリングの銘醸畑

■フォン・ウィニングの畑の土壌

ファルツの土壌は赤土や黄土の砂岩をベースにした砂質、ローム、泥灰土、粘土などから構成されます。特にワイナリーがあるダイデスハイム村はファルツ北部に位置し、南部に比べると土壌は微粒砂土で軽やなのが特徴です。 さらに、太古の昔、ここはサンゴ礁だったことから石灰質土壌が豊富です。

 

■偉大なワインを育むフォルスト村(Forst)

ダイデスハイム村の北に位置するフォルスト村は、ウンゲホイヤー、イェズイーテルガルテン、ぺヒシュタイン、キルヘンシュトゥックといった、この地域で最も重要かつ優れた特級畑で知られています。フォルスト村では2億5千万年前の砂質土壌と、5千万年前のサンゴ礁に由来する石灰質土壌に加え、このエリアでは非常に珍しい火山性玄武岩が見つかり、特別なミネラル感と複雑味を有するワインが生まれます。

 

<フォルストにまつわる逸話>

1849年にスエズ運河が完成した際、開通式でフォルスター ウンゲホイヤーのリースリングが提供された記録が残っており、ヴィクトリア女王も楽しんだとされています。同じ時代には、当時非常に影響力のあった英国ワイン商の価格リストに、ウンゲホイヤー リースリングがボルドー1級シャトーより高値で掲載されていました。これらのエピソードからも、フォルスト村のリースリングがいかに品質が高く、歴史的に評価されてきたかを知ることが出来るでしょう。

フォルスト村の特別な土壌 フォルスト村の特別な土壌

偉大なワインは畑で造られる

畑では環境に配慮した栽培を心がけ、ビオディナミとサステナブル農法を実践しています。52ヘクタールの自社畑のうち、70%は主要品種であるリースリング種を栽培していますが、他にもソーヴィニヨン・ブラン、ヴァイスブルグンダー、シャルドネ、ピノ・グリ、さらに黒ブドウのピノ・ノワールも栽培しています。近年では気候変動の影響も相まって、特にピノ・ノワールにとって理想的な気候となってきており、既に世界トップレベルのワインを生み出すことに成功しています。フォン・ウィニングでは現在シャルドネにも大きな期待を寄せており、リースリングの格付け畑の一部をシャルドネに植え替える等、取り組みを進めています。近い将来、このエリアはシャルドネにとっても偉大な産地になると確信しています。


■偉大なワインは畑で作られる

「偉大なワインは畑で作られる」という信念のもと、栽培責任者ヨアヒム・ヤレイ氏率いる才能豊かなチームは、畑の潜在能力を最大限に引き出すための革新的努力を惜しみません。ワイナリーでは一部契約畑のブドウも使用していますが、その畑の管理もヤレイ氏が責任を持って行っています。「土地の力を信じ、生態系を脅かすことなく、むしろサポートする」ことが彼らが畑に向き合う姿勢で、化学肥料や除草剤は一切使用せず、銅の使用を最小限に留めた、自然を尊重した農法を採用しています。

 

■ビオディナミを実践

フォン・ウィニングでは2008年からすべての畑でビオディナミ栽培を実践しています。化学肥料を使うことを止め、必要な時に応じて月のサイクルを見ながら500番や501番、ハーブティーといったプレパラシオンを使うようにしています。目的は畑のバランスを取ること、そして豊かで生き生きとしたエコシステムを形成することです。ワイナリーではビオディナミを実践してから毎年畑の状態が良くなっていることを実感しており、それがブドウやワインにも如実に表れていると考えています。

 

■高密植栽培

同じく2008年には、ブルゴーニュ地方によく見られる高密植栽培を利用した畑をつくりました。平均的な5,000本/haより更に多い9,500本/haを植えることにより、ブドウ樹の競争を促すことで自然に収穫量を調整しています。またブドウ樹が地中深くまで根を下ろすことにより、果実、またその果実からできるワインがテロワールを表現するだけでなく、夏の熱波や多雨にも耐えられる強さを与えてくれます。また十分な水分が行き渡るため、様々な花が咲き、生態系を支える昆虫の住処にもなり、畑は生物多様性に富んでいます。トラクターが入ることはできないため、全てが手作業となりますが、凝縮感と表現力に溢れるブドウを得ることが出来ます。

 

こうした入念な手入れと生態系への理解、畑が持つ自然の力への信頼により、最高のブドウを収穫することができるのです。

特級畑カルコフェン 特級畑カルコフェン

個性的な銘醸畑の数々

ワイナリーが所有する52ヘクタールの自社畑は、5つの村、20の畑にまたがります。

※特級畑にはGGと記載

 

<所在地>

■フォルスト村(Forst)

Ungeheuer GG, Jesuitengarten GG, Pechstein GG, Kirchenstuck GG

 

■ダイデスハイム村(Deidesheim)

Kalkofen GG, Grainhubel GG, Kieselberg GG, Langenmorgen GG,

Paradiesgarten, Herrgottsacker, Am Gutenberg, Maushohle, Leinhohle

 

■ルッパーツベルク村(Ruppertsberg)

Reiterpfad An Den Achtmorgen GG, Reiterpfad, Nussbien

 

■ケーニヒスバッハ村(Konigsbach)

Olberg, Olberg-Hart GG, Idig GG, 

 

■ハールト村(Haardt)

Herzog, Herrenletten, Burgergartem

 

フォン・ウィニングが所有する畑の地図 フォン・ウィニングが所有する畑の地図

ブドウの純粋な魅力を引き出す「最小限の介入」

ファルツの偉大な醸造家ハンス・ギュンター・シュヴァルツ氏がかつて「偉大なワインには完璧なブドウとセラーにおける適度な ”放任” が必要である」と語ったように、ワイナリーでは“ワインの構造を一切変えないための細心の注意と最小限の介入”を理念に掲げています。

 

■自然なワイン造りが行われる醸造所

19世紀中頃に設立された歴史ある醸造所は、ブドウやワインにストレスをかけないよう、重力を利用した自然な醸造ができる構造となっています。熟成セラーは全て湿度・温度が理想的な状態に保たれる地下に配置され、これによりマストは重力に逆らわずセラーに流れ込みます。蔵付きの野生酵母で自発的な醗酵を促すなど、セラー内における醸造過程は一貫して「最小限の介入」の理念のもとに行われています。

 

■ルモンタージュも行わない

醸造過程におけるあらゆる「動き」は、ワインにとってストレスとなります。「動き」を最小限に留めるフォン・ウィニングでは、ルモンタージュも行いません。ルモンタージュを行うことでマストを循環させワインに動きを加えてしまうと、ワインから優れた香り成分が失われてしまうからです。重力のみを利用することは昔ながらの伝統的な手法ですが、伝統に立ち返ることで、より繊細なワインを造ることができるのです。

歴史ある地下セラー 歴史ある地下セラー

伝統が新しい「リースリングの樽醗酵・樽熟成」

フォン・ウィニングでは、一級畑から収穫されたリースリングを500L、1,200L、2,400Lの異なるサイズのオーク樽を組み合わせて醗酵・熟成し、特級畑のリースリングを500Lのフレンチオーク樽で醗酵・熟成させています。

 

今日では、リースリングの醗酵・熟成にステンレスタンクを使用することが世界的な主流となっていますが、これはステンレスタンクが開発される1950年代以降に広まった手法です。フォン・ウィニングでは、長いワイン造りの歴史の中で伝統的に行われていた「リースリングの樽醗酵・樽熟成」を現代にいち早く蘇らせました。復活当初は周囲からの批判も多かったそうですが、オーク樽がもたらす複雑味や味わいの奥深さ、ワインの力強さが高く評価され、今ではフォン・ウィニングに倣い、この手法を採用する生産者も増えています。

 

「リースリングの樽醗酵・樽熟成」はフォン・ウィニングのアイデンティティの一つであり、誇りでもあるのです。

一級畑のブドウが醸されるセラー 一級畑のブドウが醸されるセラー