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ワインのキホン

ワインの熟成とは?熟成の変化と熟成に向いているワイン

ワインの熟成とは?熟成の変化と熟成に向いているワイン

ワインは熟成を楽しむことのできるお酒ですが、そもそも「熟成」とは何でしょうか?熟成によってどのようにワインが変化するのか、どのようなワインが熟成に向いているのか、ご説明いたします。

ワインの熟成とは?

「十分に熟してできあがること」を「熟成」といいますが、ワインにおける熟成とはどういったことでしょうか?
ワインの場合、香りや味わいが時間をかけてまろやかになったり複雑味を増したりすることを意味します。

ワインの熟成に必要な要素は、ワインに含まれている有機酸、ポリフェノール、タンニン、アルコールや残糖分などで、含まれる量が多ければ多いほど、長い時間をかけた熟成が可能です。

熟成による変化

若いワインと熟成されたワインでは、どのような違いがあるのでしょうか?

① 色


ワインは若い時ほどフレッシュで明るい色をしています。時間が経過するにつれ、徐々に酸化が進み、ワインの色は変化していきます。白ワインであれば「緑がかった色味→黄金色→トパーズ→アンバー」と変化していき、赤ワインであれば「ルビー→ガーネット→レンガ→マホガニー」の順で変化していきます。

② 香り


若いワインはブドウ由来の香りが強く、フレッシュでフルーティーな印象です。
白ワインが熟成されていくとハチミツやナッツ、キノコなどの香りに変化します。
赤ワインが熟成されていくと紅茶やなめし皮、腐葉土などの香りに変化します。

③ 味わい


酸味や渋味が和らぎ、全体的に円熟味を帯びる傾向があります。
若いヴィンテージのワインには味に突出した要素があり、この状態を「開いていない・硬い」と表現することがあります。熟成することによってワインは変化していき、まろやかで口当たりがよく「開いている」と言われる状態になります。

赤ワインと白ワイン、熟成に向いているのは?

赤と白を比べた場合、一般的に熟成に向いているのは「赤」ワインです。赤ワインの方がワインの熟成に必要な要素であるポリフェノールやタンニンが多いからです。

赤ワインは果皮と種子と果汁を一緒に醸造するため、アントシアニン(ポリフェノールの一種で赤黒い色のもと)やタンニン(渋味のもと)が多く含まれています。そのため熟成に向いたワインが多く、含有量の多い品種であるカベルネ・ソーヴィニョンやメルローを使うボルドーワインは、その代表選手といえるしょう。

白ワインの場合は、熟成に向いた要素が赤ワインほど多くありません。しかし、樽熟成をした白ワインはコクや複雑さが生まれるため、熟成によって味わい深くなります。白ワインでもアルコールが高めのものや、糖度と酸度の高い甘口ワインも熟成に向いています。

なお、オレンジワインは白ワインに果皮と種子を入れて一緒に醸すため、アントシアニンやタンニンなどもプラスされるので、熟成向きといえるでしょう。

その他にも、ブドウの出来が良かった年に造られたワインも長期熟成に向きます 。

熟成に向いているブドウ品種

次は熟成に向いているブドウ品種を見ていきましょう。
熟成に向いているのは先ほど述べたように赤ワインの品種が多いです。

① カベルネ・ソーヴィニヨン:タンニンが豊富で、熟成によってまろやかになり重厚感が増します。
② メルロー:カベルネ・ソーヴィニヨン同様、タンニンが豊富です。
③ シラー:アルコールが比較的高く、タンニンも強い品種です。
④ ピノ・ノワール:酸が高く、熟成により香り高く複雑みを増します。
⑤ ネッビオーロ:酸とタンニンが豊富で長期熟成に向いています。

上記の通り、熟成に向いているブドウ品種は「高級ワイン」と呼ばれる銘柄に使われるものが多いです。時間をかけて熟成させる楽しみのある、長寿命なワインほど価値があるといえるかもしれません。

熟成と酸化は違う?

熟成中のボトルの中では、ワインに含まれる無数の物質に様々な化学変化が起きています。その一つに酸素の影響によるものがあるため「酸化」は熟成の一部ということができます。
ワインが時間を経て好ましい状態になれば「熟成」、好ましくない変化が起きてしまった場合は「劣化」となります。その線引きはなかなか難しく、銘柄・ヴィンテージや保管条件に左右されながら、(長い場合には)経年による変化をワインにゆだねることになります。熟成の奥深さは計り知れません。

自宅でワインを熟成させる時の保管方法

どうすればワインを上手に熟成させることができるのでしょうか?

それは保管環境を整えることです。
ワインの理想的な保管条件は、
①温度12~15℃
②湿度70~75%
③温度変化や振動がない
④紫外線が当たらない
ことです。

地下室や床下のような冷暗所、もしくはワインセラーでの保管が理想です。
気温が高温になる場所や日光が当たる場所では、ワインの劣化が進みます。
ワインにとって理想的な環境で保管すると、ワインは時間と共にきれいに熟成していきます。

おすすめの熟成ワイン

20世紀最後の年、1999年の良年にできた貴重な古酒。

長期の熟成を経てもなお、完熟度・凝縮度の高いガルナッチャに由来する存在感のある果実味が魅力。

メドック第5級格付けシャトー、カマンサックがつくるセカンドワイン。ボルドーらしい熟成が楽しめます。

優良ヴィンテージ2009年!複雑さのある味わいと余韻が楽しめます。

熟成によって飲み頃になったネッビオーロ。滑らかな舌触りが心地よいワインです。

  • Langhe Nebbiolo
    イタリア
    イタリア
    • 2009

    Casa Vinicola Nicolello

    カーサ・ヴィニコラ・ニコレッロ

    Langhe Nebbiolo

    ランゲ ネッビオーロ

    750ml, 2,300 yen

    こちらの商品は現在取り扱いがございません

参考文献
ジェイミー・グッド/『新しいワインの科学』/河出書房新社/2014年

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