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ワインのキホン

砂漠地帯から山まで。多様性の『ナバーラ州』ワイン解説

砂漠地帯から山まで。多様性の『ナバーラ州』ワイン解説

隣にある銘醸地リオハの陰に隠れてスペインワインのなかでは目立ちにくい存在ですが、ナバーラ州はリオハと競争を繰り広げてきたワイン産地です。歴史やヨーロッパ最大の砂漠地帯『バルデナス・レアレス』と特産ワインを解説します。

ナバーラ州の場所・州都

スペイン北東部、フランスとピレネー山脈を挟んだ国境沿いにあります。キリスト教の3大巡礼地『サンティアゴ・デ・コンポステーラ』が地図左上の「ガリシア州」にあるため、フランスからそこへ向かうための通り道(巡礼路)になっています。州都はヘミングウェイの小説『日はまた昇る』の舞台となったパンプローナ。『サン・フェルミン』という牛追い祭りが行われることで有名になっています。宣教師のフランシスコ・ザビエルもこの町の出身で、日本の歴史ともつながりのあるところです。

ナバーラ州と、ワインの歴史

ナバーラのワイン造りは古代ローマ時代までさかのぼることができる、長い歴史があります。ローマの崩壊後は1512年までの約1200年もの間『ナバーラ王国』が独立を守りました。そのためスペインの中では一線を画した存在となっていて、ナバーラの人たちは地元に誇りをもっています。中世にはフランスからガリシア州の巡礼地『サンティアゴ・デ・コンポステーラ』に向かう巡礼路にあたることから需要が増えてワイン造りが発展しました。ナバーラ王国はフランスの名門貴族や王家による統治時期があり、その最初の王はシャンパーニュ地方のシャンパーニュ伯でした。このように地理的にも文化的にもフランスとのつながりがあったことから土着品種とともにカベルネ・ソーヴィニョンやメルローといったフランス品種が早くから栽培されるようになりました。

1890年代にフィロキセラ(ブドウの害虫)の被害を受けて多くの品種が壊滅。20世紀に入って再興された際に熱心にガルナッチャを植えたため、一時はそれから造られるロゼワインの産地とみなされていました。1933年にDOナバーラが制定。1970年代は隣のリオハにならってテンプラニーリョが植えられました。1980年代は多くの研究所や栽培の学校が設立されてガルナッチャの古木からカベルネ・ソーヴィニョンメルローシャルドネといった国際品種に植え替えられました。

近年では若い世代によって地元品種への回帰テロワールを重視したワイン造りが行われるようになっています。ワイン法で認められた『単一畑』(VC=ヴィノ・デ・パゴ)が3つあります。

サブゾーンが5つある

ナバーラはエリアによって自然条件が大きく異なります。南部は暑くヨーロッパ最大の砂漠地帯である『バルデナス・レアレス』ができるほど暑く乾燥していていますが、栽培面積が少ない北部は山がちで冷涼です。リオハと同様に標高が高く、土壌が多様。ピレネー山脈に近いため、例えばボルドー品種であればボルドーよりも収穫期がかなり遅く(11月になることも)なります。そのためナバーラのワインには多様性があり、生産地域が5つのサブゾーンに分けられています。

リベラ・バハ

南部の暑く乾燥した平地エリア。モンカヨ山地に遮られて雨が少なく灌漑(水やり)が必要とされます。東側に砂漠地帯のバルデナス・レアレスが広がります。

リベラ・アルタ

州の中央部分にあり、南東に砂漠地帯が広がります。ブドウ生産量のうち約1/3を産出。南部と北部の中間的なキャラクターをもつエリアです。

バハ・モンターニャ

北部にあるエリアで、石灰交じりの粘土質土壌を有しているのが特徴です。

ティエラ・エステーリャとバルディ・サルベ

北端にある2地域で、土壌・風土・標高がさまざまです。

砂漠地帯のほとりにワイナリーがある

ナバーラ州にある『バルデナス・レアレス』はヨーロッパ最大の砂漠地帯です。イベリア半島の大陸プレートがヨーロッパのプレートと衝突を起こした太古の時代にできた窪地が湖になり、時代とともに姿を変えて砂漠地帯になりました。

リベラ・アルタの東の片隅にあるワイナリー(ボデガ)『アスル・イ・ガランサ』は、この砂漠地帯と非砂漠の境界付近にあり有機栽培に向いた自然条件を活かしたワイン造りを行っています。カタルーニャの醸造学校で同級生だった2人が卒業後に研鑽を積み、立ち上げました。地品種、国際品種、ナチュラルなワイン造りなどナバーラらしい個性を存分に発揮しています。

スペイン
スペイン

Bodegas Azul y Garanza

ボデガス・アスル・イ・ガランサ

Bodegas Azul y Garanza

ナバーラの一部は『リオハ』に属している

スペインの有名赤ワイン産地「リオハ」のうち、最も大きな面積を占めるのはラ・リオハ州ですが、バスク州とナバーラ州にも一部がまたがっています。詳しくはこちらのコンテンツで地図付きでご紹介しています。

ナバーラで『カヴァ』の生産が認められている

スペインを代表するスパークリングワイン『カヴァ』は、その大部分がバルセロナを州都とするカタルーニャ州で生産されます。しかしカヴァの生産が認められてる4つのゾーンのうち一つがナバーラ州にまたがっていていることから、ナバーラでも生産することができます。こちらのコンテンツに地図つきの解説があります。

ナバーラのレストランフード(写真のみ)

現在のナバーラ州はテンプラニーリョ、ガルナッチャ、カベルネ・ソーヴィニョンが栽培面積のトップ3です。おいしくて割安感のある銘柄が見つかるエリアでもありますので、自分好みのナバーラワインを探してみるのも楽しいのではないでしょうか。

関連コラム

参考
大滝恭子、長峰好美、山本博/『スペイン・ワイン』/2015年
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン/『世界のワイン図鑑 第8版』/ガイアブックス/2021年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2023』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2023年
バルデナスレアレスWEBサイト/bardenasreales/El Medio Físico y Geología
https://bardenasreales.es/medio-fisico-geologia/

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