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ワインのキホン

『リープフラウミルヒ』ってどんなワイン?

『リープフラウミルヒ』ってどんなワイン?

ワイン初心者の方におすすめの銘柄は?と聞かれたらこのワインをおすすめします。甘くて優しい味わいですし、スーパーマーケットなどで手頃な価格で手に入る。そんな『リープフラウミルヒ』の解説です。

『リープフラウミルヒ』とは?

有名なドイツ産ワインの銘柄のひとつです。甘口の白ワインであることから飲みやすく、ワイン初心者の方でも親しみやすいのが特徴です。ドイツワイン法で『リープフラウミルヒ(Liebfraumilch)』が規定されたのは1971年で、1980年代にはドイツから輸出されたワインの60%を占めるほど世界的に人気になりました。

味の特徴と飲み方

リープフラウミルヒは甘口ワインですが、同時にブドウ由来の酸味も豊かです。ですからその甘味はさっぱりと感じられ、余韻が爽やかです。より美味しく飲むために冷蔵庫で6℃くらいによく冷やしてグラスに注ぐのがおすすです。本来はそのまま飲むものですが、カジュアルなワインですので氷を浮かべたり炭酸で割ったりして飲むのもよいでしょう。

赤や辛口はある?

ワインは、ブドウを搾ったジュースの糖分を醗酵でアルコールに変えて造ります。もとの糖分がどのくらいワインに残っているかによって甘辛度が決まり、その糖分を『残糖』といいます。
リープフラウミルヒは残糖度が18~45g/Lの甘口にすることが定められており、色は白であることも規定に書かれています。ですから辛口の銘柄や、赤やロゼはありません

参考までに残糖度18~45g/Lを清涼飲料水に例えるならば、濃縮還元のジュース(参考値21g/L)~炭酸飲料類(同42g/L)と同じくらいです。

アルコール度数は「低め」

リープフラウミルヒに限らず、甘口のワインにはアルコールが低めのものが多いです。ブドウの甘味をワインに残すため、醗酵を途中で終わらせることがその理由。通常ワインのアルコール度数は12%が目安になりますが、この銘柄なら9%程度。ワイン初心者の方にもおすすめです。

由来と歴史

リープフラウミルヒの元祖は、ドイツのワイン産地『ラインヘッセン』にあるヴォルムスの聖母教会(聖母=リープフラウエン)の周辺にあった畑からできたワインです。ヨーロッパでは中世の初期から教会や修道院がワイン造りをリードしていました。『聖母の乳(=リープフラウミルヒ)』と名付けられたリープフラウエン教会のワインもそのひとつ。18世紀半ばから有名になり、20世紀初頭には世界的な銘酒として高値で取引されていました。

ところが高い人気のゆえに供給が追い付かず、リープフラウミルヒはライン川沿いのマイルドな白ワイン全般を指すワインになります。そして模造品まで出回るようになり、その価値は低下してしまったのです。

 

ブドウ品種と規定

1971年のドイツワイン法ではリープフラウミルヒの規定が明確化されました。広域な地域で生産できる「特定の個性をもつ甘口白ワイン」と明記され、一定の基準をクリアすることが求められています。現在のリープフラウミルヒの姿はこのようにして守られています。

ブドウ品種は、リースリング/シルヴァーナ/ミュラー・トゥルガウ/ケルナーを70%以上使用

その他、規定の一部は下記の通りです。

  • 生産地域…ラインヘッセン、ファルツ、ラインガウ、ナーエ
  • クヴァリテーツワインの規定に準じる品質を守る
  • 品種名のラベル表示はできない
  • etc...

料理との合わせ方

リープフラウミルヒに合わせるフードの選び方です。
おすすめの方法は3つ。

  • 酸味×酸味で合わせる
  • 甘味×辛さで中和させる
  • 甘味×甘味で相乗効果

サラダにビネガーをかけて、ワインの酸味とビネガーの酸味を合わせます。お互いの爽やかさを同調させつつ、グレープフルーツなどをのせればフルーツの甘さも合わせられます。

また、辛みのあるエスニック料理を合わせるのもおすすめです。料理の辛さをワインの甘味が中和してくれるのでどちらの個性も引き立ちます。グリーンカレーのような料理とぜひ合わせてみましょう。

それから甘い食べ物と合わせて甘味を同調させる方法もあります。例えばフルーツ入りのチーズと食べ合わせるとワインの酸味がチーズの味わいを引き立ててくれます。このペアリングなら食事の最初からデザートまで楽しめるのでご参考に。

筆者がお酒を飲めるようになって「ワインを飲んでみたい」と思ったとき、はじめて美味しいと感じたリープフラウミルヒ。おすすめです。是非ともお試しください。

関連コラム

参考
シュテファン・ラインハルト/『FINEST WINEシリーズ ドイツ』/ガイアブックス/2013年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2023』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2023年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2005』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2005年

『自分の飲んでいる飲み物からとる糖分の目安』/厚生労働省/2024年4月9日閲覧
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0326-10l-002.pdf

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