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ワインのキホン

シェリーの種類(タイプ)を解説

シェリーの種類(タイプ)を解説

シェリー酒には大きく分けて2つのタイプがあります。細かい分類をみていくと10以上になります。一つ一つ解説していきます。

『フィノ・タイプ』のシェリー

現代のシェリーを代表する銘柄で、シェリーの代名詞といえるのが『フィノ』です。シェリー特有の熟成システム『ソレラ・システム』の樽で育成する産膜酵母『フロール』の影響でワインと空気と触れることが少ないため色が薄く、フロールが糖分を消費するため辛口になります。アルコール度数はフロールが育成しやすい15%に酒精強化されています。フィノ・タイプに分類されるシェリーは5~9℃に冷やして味わうのがおすすめです。

フィノ

Fino
色が薄く、ライトボディですっきりとした辛口です。熟成地は『ヘレス』『エル・プエルト・デ・サンタ・マリア』のどちらかです。アペリティフ(食前酒)や魚のフライとの相性が最高です。
フィノに必要なフロールはタンニンがあると育成しにくい習性があります。新品の樽にはタンニンが含まれるのでフィノには使い古した樽を使う必要があります。オロロソを造った古い樽からアモンティリャードが自然発生的に誕生し、さらに古くなった樽からフィノが誕生していきました。
7年以上熟成させたフィノは「フィノ・ビエホ(Viejo)」に認定されます。

マンサリーニャ

Manzanilla
フィノのとおなじですが、熟成地がサンルカール・デ・バラメーダのもの。普通のフィノに比べてフレッシュさが特徴で、独特の塩気のあるものもあります。メーカーによっては7年以上熟成させた重めのものがみられ「マンサニーリャ・パサダ(Pasada)」と呼ばれます。塩茹でのエビや貝のマンサリーニャ蒸しに合います。

アモンティリャード

Amontillado
フィノを長期熟成して、熟成途中にフロールを消失(自然消失か、再度酒精強化する)したもの・させたもの。フロールの消失とともに、オロロソ・タイプとおなじ酸化熟成が始まります。琥珀色でナッツの風味を持ちフィノとオロロソの中間的な味わいです。燻製品やナッツと好相性です。

暑い時期にぴったり。フィノの飲み方

辛口のフィノシェリーをスプライトなどの炭酸入り清涼飲料水で割るカクテルは「レブヒート」と呼ばれ、アンダルシア地方ではお祭りで飲まれるカクテルになります。
ソーダで割ると、シュワっと心地よい発泡感が気持ちいい辛口のカクテルに。氷を入れたグラスにフィノを注ぎソーダを注ぎその時の気分でレモンやミントの葉をいれれば爽やかさが増します。

淡く黄金色の色合いが、炭酸の泡立ちとともに美しく輝き、夏の夕暮れに飲めば、体から熱をスッと奪って、軽やかな味わいがしみ込むよう。ジメっとした日本の夏におすすめの飲み方です。
お料理は魚介類や塩気のあるものがおすすめ。ソーダ割ならフリットなど、揚げ物のメニューにぴったりです。もし生牡蠣がお好きなら、酸化熟成タイプのアモンティリャードと合わせると、ペアリングの妙を楽めます。

『オロロソ・タイプ』のシェリー

オロロソはシェリーで最も古いスタイルです。フロールが育成しにくい17%に酒精強化した原酒をソレラ・システムで熟成させます。空気に触れながら熟成が進むため酸化熟成が起こります。17%は酸化しても酒質の劣化が起きにくく、色合いは琥珀色からマホガニー色へと変化します。炒ったナッツのニュアンスを伴う深い香りでフルボディになります。オロロソ・タイプのシェリーは12~14℃くらいの温度で飲むのがおすすめです。

オロロソ

Oloroso
辛口で、酸化熟成による豊かな香りとデリケートなコク・深みがあります。オロロソはスペイン語で「香り」「匂い」を意味するオロールの形容詞系。「香り高い」という意味です。肉の煮込み料理に。

パロ・コルタド

Palo Cortado
アモンティリャードの香りとオロロソのボディを持ち合わせます。製法が明確でないため理解が難しいもので、フィノになるワインにフロールがつかずオロロソ化したものです。パロ(=棒)コルタド(切る)という言葉は、ベースワインをフィノ、オロロソのどちらにするかを決める際に用いられたマーク(ラヤ=斜め線/)に対して横棒(―)を引いた"ナ"に似たマークのものを指します。希少な酸化熟成タイプで市場に出回ることは滅多にありません。極上のイベリコハムに合います。

秋の気配を感じたら。オロロソの飲み方

徐々に気温が下がって過ごしやすくなって、秋の気配を感じるとともに、コクのある料理を求めるようになったらオロロソを。華やかな香りを楽しむならストレートで。フィノ同様、炭酸水で割ってもおいしいです。

お料理はローストした赤身肉やジビエとの相性は抜群!和食だとタレや味噌を使った味にも合います。

極甘口タイプのシェリー

モスカテル

Moscatel
ブドウ品種のモスカテルから造られる極甘口です。モスカテルの主要栽培地であるチピオナ(「シェリー・トライアングル」からはずれますが、例外的にシェリーとして認められる)と呼ばれる地域のブドウを主に使用。ブドウ由来のアロマがあり、紅茶やジャスミンのような華やかさと柑橘類の爽やかさ酸化熟成で生まれるほどよい苦味が絶妙です。
ソレオ(天日干し)してから造る「モスカテル・パサス」、ソレオしない「モスカテル・ドラド」があります。

ペドロ・ヒメネス

Pedro Ximenez
収穫したブドウを天日干し(ソレオ)して水分を減らして糖度を高めます。これを潰してドロドロの状態になったものに酒精強化を行いソレラ・システムで熟成します。極甘口。

ドゥルセ

Dulce
ゴールデンから黒檀色まである極甘口。

中甘口タイプのシェリー

ペール・ドライ

Pale Dry
フィノやマンサリーニャをベースにMCRをブレンドしたものです。淡い黄色から金色、フロールのもとで熟成したワインをベースとするので、その特性があります。軽やかな甘口

MCR(エメ・セ・エレ):無色無臭の甘い濃縮精留果汁。ブドウ果汁から水分を蒸発させて、糖分以外の成分を濾過、清澄、イオン交換で除去して造る。糖分は約840g/L

ペール・クリーム

Pale Cream
フィノやマンサリーニャをベースにMCRをブレンドしたものです。ペール・ドライよりも甘口

ミディアム

Medium
アモンティリャードやオロロソをベースにペドロ・ヒメネスやMCRなどで少し甘味をつけたもの。ほどよい甘さと酸味が特徴です。ミディアムだけの表記もあれば、「アモンティリャード・ミディアム」や「ミディアム・オロロソ」と表記されることもあります。以前は「アモロソ」や「ゴールデン」などいくつかの名前で呼ばれていましたが、現在は「ミディアム」に統一されています。

クリーム

Cream
オロロソをベースに、ペドロ・ヒメネスやモスカテル、MCR(濃縮果汁)などで甘味をつけます。オロロソの芳醇な香りと甘味によって食後酒に用いられます。意味はそのまま「クリーミーなシェリー」です。イギリスで昔「ミルク」というブレンドタイプのシェリーに対して風味と甘味が豊かなこのスタイルが「クリーム」と呼ばれたことであると伝わっています。

寒い時期には甘さを楽しんで。甘口シェリーの飲み方

ゆったりと食事を楽しむ冬、食後にペドロ・ヒメネスのとろけるような甘美にじっくり浸る。迷わずストレートで味わっていただきたいです。バニラアイスクリームにとろりとかけて味わうもよし、スペイン産の羊乳をつかったチーズに合わせるのもおすすめです。

お好きなスタイル、お好きな料理と合わせて、個性豊かなシェリーの世界をお愉しみください。

長期熟成のシェリー

特に長い熟成させたシェリーは次のカテゴリーに分類されます。

  • 12年以上
  • 15年以上
  • 20年以上(VOS =very old Sherry)
  • 30年以上(VORS =very old rare Sherry)

その他のラベル表記

「en rama(エン・ラマ)」の表記があれば、清澄・冷却処理されていないもの。
伝統的な区画で独自のテロワールが認められた畑のブドウを85%以上使用した場合は「Pago(パゴ)=区画」の名前が表記されます。

単一ヴィンテージのシェリー

ソレラ・システムではなく、単一収穫年のワインを同じ樽で長期熟成したものは「Anada(アニャダ)」になります。

関連コラム

参考
中瀬航也/『Sherry』/株式会社志學社/2017年
しぇりークラブ(高橋美智子)、和泉もも子、益子勝也/『Sherry~樽の中の劇場』/株式会社スペクトラム・コミュニケーションズ/2017年
大滝恭子、長峰好美、山本博/『スペイン・ワイン』/早川書房/2015年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2024』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2024年

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