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世界の造り手から

輸入元が教える『ボジョレーヌーヴォ 2024』解禁日や作柄情報まで

輸入元が教える『ボジョレーヌーヴォ 2024』解禁日や作柄情報まで

ボージョレヌーヴォ(Beaujolais Nouveau)の生産者から輸入元に入っている作柄情報や、国際情勢による影響など2024年の最新情報をまとめていきます。

2024年の解禁日は11月21日(第3木曜日)

フランスでは新酒の解禁日を、毎年『11月の第三木曜日』と定めています。フランス各地の新酒の中で有名なのがボージョレ産のヌーヴォ(=New:新酒)です。秋の収穫を祝って、同じローヌ地方(※)の大都市リヨンのビストロなどで飲まるようになりました。やがてパリでも話題となり、一般に流通するようになっていきました。

解禁日は、1951年に粗悪品や醸造の氾濫を防ぐために定められました。幾度か改訂されたのですが、その理由は一説によると11月15日が週末にあたったこと。酒屋さんが週末に営業しなければならず、休日営業を回避するために木曜になったとされています。

※ワイン界ではボージョレを「ブルゴーニュ地方」の一部として扱うため、以降は本ページでもそれにならいます。詳しくはこちら↓

ボージョレ・ヌーヴォ(Beaujolais Nouveau)とは

ボージョレはフランスの『ブルゴーニュ地方』の南部に位置する地区の名前です。
ここで収穫したブドウで醸造されるワインに『ボージョレ』の名前がつきます。
ボージョレで収穫されるブドウのほとんどがガメイ種で、軽やかでフルーティーな味わいの赤ワインになります。

『ヌーヴォ』は新酒という意味。
定められた解禁日に間に合うように、ヌーヴォは通常のボージョレとは違う「マセラシオン・カルボニック」という方法で醸造されます。

『ヌーヴォ』と『ヴィラージュ ヌーヴォ』の違い

ボージョレ地区の北部にあるいくつかのコミューン(地方行政上の最小単位)では品質の高いブドウを生産できるため『ヴィラージュ』を付けてワインを販売することが許されています。一般的に良いブドウを使えば良いワインができるためです。全部で38のコミューンがヴィラージュを名乗ることができます。

『ヴィエイユ・ヴィーニュ』とは?

(Vieille Vigne / V.V.)

いくつかのヌーヴォには『ヴィエイユ・ヴィーニュ』と書かれたものがあります。

これは樹齢の高いブドウの樹(古木)という意味です。一般的にブドウの樹は樹齢が高いほうが根が地中深くに張り、年齢を重ねるごとにできるブドウの品質が上がります。樹の本数が少なくなり、収穫できる実も減るため希少性が上がります。樹齢何年目からヴィエイユ・ヴィーニュを名乗れるかは決まっていないため表記することはワイン生産者の判断にゆだねられますが、30~50年くらいのものが多いようです。

ヌーヴォに『白』はある?

フランスではボージョレ地区以外でも11月第3木曜日に新酒が解禁されます。ボージョレの隣にある『マコン(マコネー)地区』では特産が白ブドウのシャルドネ。新酒の『マコン・ヴィラージュ ヌーヴォ』は白いヌーヴォとして知られています。

ワインが早く出来上がる、『マセラシオン・カルボニック』とは

ボージョレ・ヌーヴォとなるガメイ種は、年にもよりますが8月下旬頃に収穫されます。
通常、赤ワインを醸造する際はブドウの果梗を取り除き、破砕してからタンクでゆっくりと醗酵させます。

しかし、ヌーヴォの場合は解禁日に間に合わせるために、ブドウの房まるごとをタンクに投入してそのまま醗酵させるマセラシオン・カルボニックという方法が使われます。醗酵の初期段階で発生する炭酸ガスによってブドウ由来の様々な成分が生成され、通常より短い2,3か月程度でワインになります。

ボージョレ・ヌーヴォは早めに飲むワイン

マセラシオン・カルボニックで造られたワインはタンニンが少なくさらりとして、新鮮なうちに飲むのに適しています。ライト~ミディアムボディの軽やかな味わいが特色です。

誤解してはならないのが、「ボージョレのワイン全部が早飲みに適している」わけではないということです。通常の醸造方法で造られるボジョレーのワインはヌーヴォよりもずっと風味豊かで、中には熟成に向いた驚くほど素晴らしいワインがあります。

2024年は高止まりか?ボージョレ・ヌーヴォの価格

生産や流通コストが世界的に高騰していくなかで輸入ワインもほかの品目と同じように価格が上昇しており、2022年頃からはその傾向が顕著です。背景にどういうことが起こっているのでしょうか?

航空便を使って運ぶこと

日本のワイン輸入業者は、ボージョレ・ヌーヴォを航空機で日本に運びます。輸入ワインは通常コスト面で有利な船便を使い、温度管理のためにリーファーコンテナを使います(世界の地域事情などによって変わります)。ヨーロッパからの船便では輸送に約2~3か月を要しますが、ヌーヴォのように『解禁日』が大切な場合は数日で輸入できる航空便を使う必要があるからです。

それまで新酒を航空便で運ぶ場合、輸送コストは船の5倍程度でした。
ところが2022年以降はウクライナ情勢の影響でヨーロッパから日本へ最短ルートを迂回して航路が長くなり、燃料費の高騰も重なりました。そのため輸送コストは以前の船便に比べて10倍程度になりました。

ワインの出荷価格

世界的なインフレ傾向はワインの商品代金に直結しています。
ワイン生産者は瓶、ラベル、段ボールなどの資材の値上がりによって生産コストに影響されます。これらはワインの価格を押し上げる要素になります。

為替レート

円安の影響もまた、輸入ワインの商品価格に直結する要因です。2024年は円安がニュースになっているのでご存じの方も多いと思いますが、輸入品には厳しい環境が続いています。

2024年ボージョレ・ヌーヴォの出来は?

現地の生産者『オジュー社』から届いたボージョレ地区のヴィンテージレポートをお届けいたします。※新着情報は、随時更新予定!

7月21日(日)のレポート

2023/24 冬~春にかけて
温暖な冬の後、ボージョレとマコン地区では激しい雨が頻繁に降りました。そのため畑での作業は大変でした。例年と比較して非常に多い雨量で、地下水は十分に満たされました。3月~5月だけで通常の倍の雨が降ったため、日照時間が平均を大きく下回りました。
このため、うどんこ病やべと病などの病気からブドウの葉を守るための作業を継続的に行いました。幸いにも、ブドウの木は美しく、緑豊かで生き生きとした状態にあります。

6月中旬
フルーリー、ジュリエナ、サン・タムール、サン・ヴェランの一部を嵐が襲い、局地的な雹も観測されました。これにより収穫にはネガティブな影響が出る見込みです。既に一部のブドウが失われており、2022年および2023年に比べて収量は減少しそうです。

2024 夏
初夏においても春と同様に日照不足に悩まされています。太陽が顔を見せず、気温も夏の平均を下回りました。ブドウの成熟の為に夏らしい陽の光を待ち望んでいます。

現状の収穫見込み
収穫は9月中旬に始まる見込みです。私たちの使用するブドウ品種であるガメイは遅摘みにも対応可能なので、この不規則な夏にも適応しやすいです。とにかく今は太陽を待ち望み、7月の後半が晴れることを期待しています。
8月と9月がヴィンテージの品質にとって重要な月ですので、状況を注視したいと思います。

オジュー社の生産している銘柄

ボージョレ・ヌーヴォ 2024 おすすめ商品

ピエール・マリー・シェルメット

ボージョレ生産者で史上初2つ星を獲得!※メイヤール・ヴァン・ド・フランス(旧クラスマン誌)

ワインの開け方に困ったら。

過去のヴィンテージレポート、残ってます。

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