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スペインのブドウ品種『テンプラニーリョ』の特徴

スペインのブドウ品種『テンプラニーリョ』の特徴

スペインを代表する赤ワイン用ブドウの魅力を解説。カジュアル~高級ワインまで、北から南まで様々な表情を見せてくれるテンプラニーリョ(Tempranillo)は特性のつかみどころが難しい品種です。しかしそれこそがテンプラニーリョの魅力なのです。

テンプラニーリョとは

赤ワインを生産するのに使われる、黒ブドウのひとつです。スペインを代表する品種となっていてとくに銘醸地である「リオハ」では全体の約80%を占める最も重要な品種です。スペイン全体でみても全ブドウ品種の栽培面積の21%を占めていて、国内最大を誇ります。

テンプラニーリョの特徴

リオハ、ナバーラ地方が原産で、現在ではスペイン各地で広く栽培されています。高級ワインの生産にはほとんどの場合で使用されています。名前の意味は「早熟」で、名前の通り成熟が早く樹勢が強めです。高地の厳しい環境でもよく育ちます。同じくスペインで主要品種になっている「ガルナッチャ」に比べて二週間ほど早く収穫されます。

テンプラニーリョの味は?

果皮が厚いため、濃くて深い色調のカジュアル~長命なワインが造られます。涼しい気候で育つと酸味が豊かになりチャーミングな味わいになります。スペイン産のワインとしてはアルコールが高くなりすぎず、繊細で非常に香りがよく酸度もタンニンも豊富

ただし、同じスペイン内でも各地域ごとに様々な表情を見せることから味の「振れ幅」が大きいこともテンプラニーリョの特徴です。ですから多くのテンプラニーリョのファンは飲み比べることに楽しみを感じているはずです。

テンプラニーリョに合う料理

テンプラニーリョのワインは、その豊かな味わいとバランスの良い酸味が特徴で様々な料理に合わせやすい特徴があります。なかでも、肉料理スペイン料理チーズ類とのペアリングはおすすめです。

例えば、ラム肉のローストイベリコ豚のグリル濃厚なチーズとの組み合わせが、テンプラニーリョの味わいを引き立てます。また、ハモンセラーノの生ハム、トマトベースのソースを使ったパスタやピザとも良く合います。料理の風味を引き立てつつ、ワインの味わいも楽しめる組み合わせを選ぶのがポイントです。

おすすめのワイン

テンプラニーリョは他の品種とのブレンドに馴染みやすい品種です。複雑さやふくらみを持たせるためにブレンドされたワインが多くみられます。スペインではガルナッチャやマスエロ(カリニャン)ビウラ(マカベオ)とのブレンドが典型例。国際品種のカベルネ・ソーヴィニョンのような有名ブドウが選ばれる場合も見受けられます。

銘醸地リオハ産

ナバーラ産

スペインのその他地域

オーストラリア産

「別名」が多いテンプラニーリョ

1980年代から世界の注目を浴びるようになったリベラ・デル・ドゥエロでは「ティント・フィノ(Tinto  Fino)」または「ティンタ・デル・パイス(Tinta del pais)」、ペネデスなどカタルーニャ州では「ウル・デ・リェブレ(Ull de Liebre)」、生産の多いラ・マンチャ(バルデペーニャス)では「センシベル(Cencibel)」のように様々な呼び名が付けられました。

近年品質向上の見られるトロでは「ティンタ・デ・トロ(Tinta de Toro)」マドリッドの「ティンタ・デ・マドリッド(Tinta de Madrid)」
国外のドウロ地方(ポルトガル)では「ティンタ・ロリス(Tinta Roriz)」の呼び名が付いていますが、これらの別名はほんの一部にすぎません。

テンプラニーリョの起源

地方ごとに様々な呼ばれ方をするテンプラニーリョですが、起源はスペインのラ・リオハ州と隣のナバーラ州であるとされています。他のブドウ品種との関係は詳しくわかっていません。

テンプラニーリョに関して信頼できる最初の記述はスペイン人のブドウ分類学者クレメンテ・イ・ルビオ(1807)の書物の中に見られ、同地域で称賛されている品種と記録されています。スペインじゅうの古いテンプラニーリョを遺伝子解析した結果、この地域から急速にスペイン中に広がっていったことが示唆されました。

テンプラニーリョを育てている国

2016年時点で世界で生産量の約88%を誇るスペインでは、21世紀に入ってからもテンプラニーリョ栽培面積の急増が続いていたのが下の表からわかります。2位以下の国々でも面積増の人気の傾向です。

2016 面積(ha)2000-2016
スペイン
193,597
+114,287
ポルトガル
17,014
+9,658
アルゼンチン
6,140
+1,420
オーストラリア
681
+640
フランス
658
-891
アメリカ合衆国
626
+425
メキシコ
229
+-?
チリ
127
+126
南アフリカ
92
+78
ルーマニア
67
+-?
イタリア
9
+2

イタリアでのこぼれ話

テンプラニーリョはトスカーナ州で『マルヴァジーア・ネーラ・ディ・レッチェ』、バジリカータ州で『マルヴァジーア・ネーラ』という名前で伝統的に栽培されていたことがDNA分析によって明らかになりました。したがってイタリアのマルヴァジーア・ネーラ栽培面積(1,303ha/2016データ)の一部または多くがテンプラニーリョであると考えられています。

「白」が見つかった

1988年にリオハ・オリエンタル(当時のリオハ・バハ)の畑で白い変異種が見つかりました。州政府の研究開発センターが4年かけて変異を安定化し、現在でも限定的に栽培されています。

関連コラム

参考
大滝恭子、長峰好美、山本博/『スペイン・ワイン』/2015年
スペイン大使館経済商務部 発行冊子/『スペインのワイン』/2006年
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン/『世界のワイン図鑑 第8版』/ガイアブックス/2021年
ジャンシス・ロビンソン、ジュリア・ハーディング、ホセ・ヴィアモーズ/『ワイン用葡萄品種大辞典』/共立出版株式会社/2019年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2023』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2023年

リオハワイン オフィシャルサイト/2024.2.27閲覧
https://riojawine.com/


データ参照
キム・アンダーソン/『Which Winegrape Varieties are Grown Where?』/アデレード大学/2020年/2024年2月29日閲覧
https://www.adelaide.edu.au/press/titles/winegrapes

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