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ワインのキホン

イタリアの情熱がギュッと詰まる『サンジョヴェーゼ』の解説

イタリアの情熱がギュッと詰まる『サンジョヴェーゼ』の解説

ワイン王国のひとつ『イタリア』で、最も多く栽培されているサンジョヴェーゼの解説です。サンジョヴェーゼで造られる『キアンティ』などに合わせる料理のアイデアや、専門的なことも紹介しています。

サンジョヴェーゼとは

イタリアの中部、とくにトスカーナ州を代表する黒ブドウです。色はそれほど濃くないルビー色で、スミレ、チェリーの香り酸とタンニンがしっかりしています。キアンティ・クラッシコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノといった重要な高級ワインを生み出す一方で、リーズナブルなテーブルワインにも使われます。エミリア・ロマーニャ州、マルケ州、ウンブリア州でも大切にされており、イタリアの食卓には欠かせない存在になっています。

味わいの特徴

サンジョヴェーゼは晩熟の品種で、完熟させるには生育期が温暖であることが必要です。概ね温暖な低地の畑ものは色調が濃くボリュームがあり親しみやすい、柔らかな味わいになります。より気温に寒暖差が出る高地の畑のものは色味も味わいも繊細。サンジョヴェーゼのもつ豊かな酸味でエレガントな味わいになる傾向があります。

充分に熟したサンジョヴェーゼはプラムや乾いた林の下草を思わせる、うっとりとするような魅惑的なアロマを感じさせます。

好きな土がある

粘土質の石灰岩土壌で良く育ち、タンニンに富んだ熟成に向いたワインができます。石灰はサンジョヴェーゼのエレガントさとアロマを強くしてくれます。適さない土地で育ったサンジョヴェーゼはボディー、色が薄く、酸味と渋さが強くなると言われています。

畑の自然条件、テロワールによって様々な表情を楽しませてくれるサンジョヴェーゼがファンを惹きつけてやまない理由はここにあります。

サンジョヴェーゼの歴史・名前の由来

歴史上初めてサンジョヴェーゼの名前が登場するのはフィレンツェ生まれの農学者Giovan Vettorio Soderiniが書いた専門書(1600年、没後に出版)のなかです。名前はローマ神話の「ジュピターの血」を意味するsanguis Jovisが由来。ジョーヴェ山(エミリア・ロマーニャ州)の麓で、修道士が単にvino(ワイン)と呼ばれていたワインの名前を尋ねられたときに、とっさに命名したという言い伝えが残っています。

サンジョヴェーゼの発祥・交配

サンジョヴェーゼはトスカーナを起源とするブドウ品種だと考えられていましたが、現在では2004年のDNA系統解析に基づいた説が有力です。それは、トスカーナ品種とカラーブリア州の品種の自然交配というものです。

片親の『チリエジョーロ』はトスカーナで現在でもキアンティの補助品種として使われているトスカーナの伝統品種。もう一方が『カラブレーゼ・ディ・モンテヌオーヴォ』で、カラーブリア州に起源をもつとされています。

そのようにして生まれたサンジョヴェーゼは、いくつか重要なブドウ品種の親になったと考えられています。有名な名前をあげると、フラッパート(南イタリア)、ガリオッポ(カラーブリア州)、ネレッロ・マスカレーゼ(シチーリア州)などです。

別名

サンジョヴェーゼは、おなじトスカーナ地方のなかでも地区によって伝統的な呼ばれ方があります。また、フランスのコルス(コルシカ)島にも別の呼び方があります。

ブルネッロ

トスカーナ州のブルネッロ地区での呼び名です。

プルニョーロ・ジェンティーレ

トスカーナ州のモンテプルチアーノ地区での伝統的な呼び名。意味は、プルニョーロ(=プルーンのような)ジェンティーレ(やさしいジェントルなブドウ)です。

  • Vino Nobile di Montepulciano
    イタリア
    イタリア
    • 2019

    Soc.Agr.Salcheto s.r.l

    サルケート

    Vino Nobile di Montepulciano

    ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ

    750ml, 4,700 yen

    こちらの商品は現在取り扱いがございません

モレッリーノ

スカンサーノ地区での伝統的な呼び名です。

ニエルッキオ

フランス領のコルス(コルシカ)島ではニエルッキオと呼ばれています。コルスは現在フランス領ですが18世紀までこの島を統治していたヴェノバ人が持ち込んだとされています。島で最も重要な品種とされており、サンジョヴェーゼ抜きにコルスを語ることはできません。

クローン

この品種には非常に多くのクローンが存在することが知られていますが、大きくニつをご紹介します。

サンジョヴェーゼ・ピッコロ

小粒でチャーミングな果実味と酸味で、わずかに青みを帯びています。タンニンに少し粗さがあり、存在感が出ます。ただし、ピッコロの中にもたくさんのクローンがありますので、違った個性のものも存在します。

サンジョヴェーゼ・グロッソ

大粒で果皮が厚めです。ピッコロに比べてコクがあるフルボディのワインができます。長期熟成によって魅力を発揮する傾向があり、若いうちはタニック(タンニンが強い)です。やはりグロッソにも複数のクローンがあるので、違った個性の樹も存在します。

サンジョヴェーゼの栽培面積(2016年データ)

イタリアのトスカーナ州を中心に栽培されているサンジョヴェーゼですが、世界のワイン用黒ブドウとしてはカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、テンプラニーリョ、シラー、ガルナッチャ・ティンタ(グルナッシュ)、ピノ・ノワールに続く7番目の栽培面積を誇り、その栽培面積は73,464haです。

イタリア国内の栽培面積は1位。2位以下を引き離してダントツの人気です。世界の栽培面積上位は以下の表のとおりです。

2016 面積(ha)2000-2016
イタリア
68,428
+5,667
アルゼンチン
1,837
-653
フランス
1,503
-61
アメリカ合衆国
827
+145
オーストラリア
430
+58
チリ
152
+29

サンジョヴェーゼの重要銘柄

重要な銘柄は代表産地であるイタリアのトスカーナ州に集中しています。

キアンティ

サンジョヴェーゼを70%以上使用した赤ワインです。

キアンティ・クラッシコ

キアンティの中でも特定の伝統的なエリアで造られた銘柄のみが表示を許されます。サンジョヴェーゼを80%以上使用し、通常品より7か月長い熟成期間が条件になります。

  • Chianti Classico
    イタリア
    イタリア
    • 2020

    Azienda Agricola 'Podere La Cappella'

    ポデーレ・ラ・カッペッラ

    Chianti Classico

    キアンティ クラッシコ

    750ml, 3,500 yen

    こちらの商品は現在取り扱いがございません

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ

モンタルチーノ地区で造られる赤ワインです。ブルネッロを100%使用して造られます。長期の熟成に向いた力強い高級銘柄です。

ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ

モンテプルチアーノ地区で造られる銘柄です。プルニョーロ・ジェンティーレを70%以上使用し、2年以上熟成させます。力強さに加えて上品さを兼ね備えたフルボディです。

  • Vino Nobile di Montepulciano
    イタリア
    イタリア
    • 2019

    Soc.Agr.Salcheto s.r.l

    サルケート

    Vino Nobile di Montepulciano

    ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ

    750ml, 4,700 yen

    こちらの商品は現在取り扱いがございません

サンジョヴェーゼに合う料理

トスカーナ州を中心に育てられている品種ですので、ワインに合わせる料理もトスカーナ州の郷土料理をお手本にするとよいでしょう。トスカーナ州の料理の特徴は素材の味を大切にしたシンプルなものが多いです。肉をたくさん食べるのも特徴です。

生ハムやサラミ

塩味のきいた肉の加工品は、トスカーナ州の名物です。柔らかい生ハムには軽めのサンジョヴェーゼ、噛み応えのあるサラミならフルボディに合わせられます。

鶏のレバー

パテにしてパンにのせる『クロスティーニ』が現地流です。シンプルに鶏のレバーをグリルしたり、煮込んだりしてもよいでしょう。ワインの複雑さに合わせてハーブやスパイスをきかせるのを忘れずに!

パスタ

卵入りの麺『パッパルデッレ』を使いましょう。ひき肉を使ったラグーソースがおすすめです。仕上げにトスカーナ産のオリーブオイルとペコリーノチーズをかけると最高です!

ステーキ

厚切りのTボーンステーキ『ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ』や、豚の背肉の塊にローズマリーとニンニクをきかせてローストした『アリスタ』といった豪快な肉料理にサンジョヴェーゼを合わせましょう。味付けはシンプルにして、食べるときにオリーブオイルをかけるのが鉄板です。

トマト煮込み

ときにドライトマトのようなアロマを感じさせるサンジョヴェーゼと肉やホルモンのトマト煮はペアリングに最高です。何の肉を使ってもよいですが、牛の胃袋を使えば『トリッパ・アッラ・フィオレンティーナ』になります。白いんげん豆(カンネリーニ)を入れるのがトスカーナ風。

ジビエ料理

トスカーナ州のマレンマ地区ではイノシシが獲れますので、ジビエに合わせて飲まれることもあります。もちろん、羊や鹿肉に合わせても楽しめます。料理法は煮込みでも、グリルでもOKです。素材の味を楽しめる、シンプルな調理法にすることを心がけましょう。繰り返しになりますが仕上げにトスカーナ産のオリーブオイルやペコリーノチーズを使うと最高です。




参考
ジャンシス・ロビンソン、ジュリア・ハーディング、ホセ・ヴィアモーズ/『ワイン用葡萄品種大辞典』/共立出版株式会社/2019年
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン/『世界のワイン図鑑 第7版』/ガイアブックス/2014年
宮嶋 勲/『イタリアワイン 2021年版』/ワイン王国/2021年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2018』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2018年
大塚謙一・山本博・戸塚昭・東條一元・福西英三/『新版 ワインの辞典』/柴田書店/2010年

Wikipedia/Giovan Vettorio Soderini/2023.12.12閲覧
https://en.wikipedia.org/wiki/Giovan_Vettorio_Soderini

データ参照
キム・アンダーソン/『Which Winegrape Varieties are Grown Where?』/アデレード大学/2020年/2023年7月9日閲覧
https://www.adelaide.edu.au/press/titles/winegrapes

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