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知っておきたい!オレンジワインのキホンとおすすめ9選

知っておきたい!オレンジワインのキホンとおすすめ9選

最近、話題のオレンジワイン。幅広い食事との相性が良いことで知られており、ペアリングを行うレストランなどからも注目されています。一体どんなワインなの?そんな疑問にお答えします!

オレンジワインとは

オレンジワインとは、白ブドウを破砕し、果皮と種子を漬け込んで醗酵したオレンジ色のワインをいいます。

白ワインは白ブドウから果皮と種子を取り除いて搾汁だけを醗酵させますが、オレンジワインは白ブドウを用いて赤ワインと同じように搾汁と果皮や種子を一緒に醗酵させて造ります。

なぜオレンジなのか

オレンジワインは、果皮や種子を長く漬け込むことで、含まれる成分が抽出されるため独特の風味を生み出しオレンジがかった色合いになります。ジョージア(旧グルジア)などの地域ではこのマセラシオン(醸し)の過程が非常に長く、美しい琥珀色となることから「アンバーワイン」と呼ばれています。

オレンジワインのつくりかた・醸造方法

冒頭では「白ブドウを破砕し、果皮と種子を漬け込んで醗酵してオレンジワインをつくる」と述べました。
もう少し詳しくオレンジワインの醸造方法を見ていきましょう。

① ブドウの収穫
② ブドウの選果
③ 果実の破砕

この3つはすべてのワイン(白、赤、ロゼ、オレンジ)に共通する作業です。
畑からブドウを摘み、葉や腐敗した実などを除去してから、ブドウ果汁を搾りやすくするために果粒をつぶします。

この後、白ワインの場合はつぶれた果粒(マスト)から皮や種子を取り除いてから果汁を搾り出しますが、赤ワインやオレンジワインの場合は皮や種子を取り除きません。
なぜかというと皮や種子から色素成分(アントシアニン)や、渋味成分(タンニン)が抽出されるからです。
白ブドウから造られるオレンジワインが「オレンジ色」になる秘密はまさにここにあります。

④ 醗酵
⑤ 浸透:マセラシオン
⑥ 圧搾

醗酵タンクにブドウを入れ、酵母の力によってアルコール醗酵を促します。素焼きの甕「クヴェヴリ」を用いている場合、添加物を加えず、野生酵母で造られることが多いです。
その後、ブドウの果皮、種子から色素成分としてアントシアニンが、渋味成分としてタンニンが、アルコール醗酵中の液体に浸み込む過程(マセラシオン)を経て、液体がオレンジ色に色づきます。
マセラシオン完了後、ワインを圧搾し、澱と果汁に分けます。

⑦ 熟成
⑧ 清澄、ろ過
⑨ 瓶詰

醗酵中に発生した酵母の死骸や果実の澱(オリ)などの浮遊物を沈めつつ、出来たての若いワインを寝かせて熟成させます。
熟成後、不純物を取り除き、瓶詰めするとワインの完成です。

オレンジワインの始まりの地・ジョージア

歴史


近年になってよく耳にするようになったため、オレンジワイン造りは新しい手法のように感じますが、実はワイン造り発祥の地と言われるコーカサス地方、主にジョージアで約8000年前から続いている、現代のワインの起源とも言える手法です。

素焼きの甕「クヴェヴリ」を用いた果皮・種子ともに漬け込む醸造方法は、2013年にユネスコ世界文化遺産にも登録されました。

味わい


どのような品種を使用するか、またどのくらいの期間マセラシオン(醸し)を行うかなどにより風味が大きく異なりますが、果皮や種子から抽出される成分によって、通常の白ワインとは異なり、渋みを伴った出汁のようなコク深く複雑な味わいとなります。※白ワインに近い軽快なタイプもあります。

ジョージア以外のオレンジワインの産地

イタリア(フリウリ)
1990年代半ばに、クヴェヴリ仕込みのワインに感銘を受けたワイン生産者『グラヴネル』や『ラディコン』らの存在により、今日のオレンジワインブームが巻き起こりました。

オーストラリア
2000年代に入って以降、若い世代を中心に広まりました。自然派生産者が多く、注目を集めています。

日本
ナチュラルワインブームの流れで、オレンジワインブームが到来しました。甲州、デラウェアを用いたものが多いです。

他にもドイツ、オーストリア、スロベニア、スペイン、クロアチア、ニュージーランド、アメリカ、南アフリカ、チリ、アルゼンチンなど世界各地の生産者がオレンジワイン造りに挑戦。その造りは、ジョージアのクヴェヴリを倣った古典的なものから、枠にとらわれず自身のアイデンティティを表現する自由なスタイル、ナチュラルな造りを追求したものまで多種多様です。

一部『白ワイン』表記のものが混じります

このページで紹介しているワインには、一部「白ワイン」と表示されている商品があります。ワイナリーがオレンジワインの製法を導入しながら(一部果皮を漬け込んだキュヴェをブレンドしているなど)白ワインとして造っているもの場合が該当します。

渋み控えめのオレンジワイン

バズーカ


<ソムリエ試飲コメント>
ソーヴィニヨン・ブラン らしい、ハーブの香りと、少しジンジャーやエスニック系の香辛料のようなスパイスの香り。
黄色いグレープフルーツ、白コショウのようなスパイス感のある味わい。ドライで、若干ピーマンのような青いニュアンス 。中華が食べたくなる味わい。

プリモシッチ ピノ・グリージョ


<ソムリエ試飲コメント>
熟したアプリコットのような、ボリュームのあるリッチな香り。メープルっぽい少し香ばしく甘い香りも。
完熟したフルーツの風味が豊かで パイナップル のような果実味。しっかりしたアルコール感を、果実味が包み込んで全体の調和がうまくとれている。余韻も長い 。酢豚や焼き鳥、豚の生姜焼きが合いそう。

ベインテミル レグアス


<ソムリエ試飲コメント>
ジャスミン、オレンジピールにまじって、シナモンのような少し甘めのスパイスの香り。
ライチ、アプリコットに似た果実味と、ジンジャーや紅茶のような味わい。れんこんまんじゅうなど和食のお出汁系の料理に合いそう。

こちらでも紹介しています。

パーク・ワイン ホワイト


型にはまらない、自由なゲヴュルツオレンジ。

クレメンタイン ピノ・グリ


オーストラリアの高地で造る、チャーミングでクリーンな1本。

ウィマーラ ピノ・グリ


フレッシュな洋ナシやナッツキャンディーなどのアロマ。

アート・テッラ クルティメンタ


フレッシュオレンジの香りに、ミントやシナモンのニュアンスが感じられます。

渋みしっかりめのオレンジワイン

ムツヴァネ


渋みとボリューム感、発祥の地の圧倒的存在感。

マカシヴィリ・ワイン・セラー ルカツィテリ


伝統的な土器「クヴェヴリ」で醸造されるアンバーワイン(オレンジワイン)。

オレンジワインの飲み頃温度と、日持ちの目安

あまり冷やすと渋みが際立ったたり、せっかくのボリューム感を楽しめない為、通常の白ワインよりは、高めの温度が適温です。

 

  飲み頃温度 日持ち目安
Light Body 軽め 10℃~12℃ 3日~1週間
Full Body しっかりめ
ジョージアやフリウリなどの色調の濃く、酒質の強いタイプ
12℃~16℃ 10日~1ヵ月

特に日持ちの良いジョージア産ワインで実験したところ、抜栓10日後にはより香りが華やかに、口当たりも柔らかに!1ヶ月後でも若干酸化のニュアンスはあるものの、美味しく飲むことができました。(ボトル40%減で10日後、ボトル50%で20日後、60%減で1ヶ月後の飲み比べを行いました。)

参考文献
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2021』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2021年

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