チーズとワインを合わせるときの基本
チーズとワインはなぜ相性がいい?
チーズとワインは、昔から親しまれてきた定番の組み合わせです。
チーズのコクや塩味に、ワインの酸味や果実味が合わさることで、お互いの味わいを引き立ててくれます。
チーズの種類によって味わいや香りは大きく異なるため、それぞれの個性に合わせてワインを選ぶのがペアリングを楽しむポイントです。

チーズとワインを合わせる3つのポイント
1. 味わいの強さを合わせる
あっさりとしたチーズには軽やかなワイン、熟成が進んだ濃厚なチーズにはコクのあるワインなど、味わいの強さをそろえるとバランスが取りやすくなります。
2. 産地を合わせる
同じ地域で生産されたチーズとワインは、相性のよい組み合わせが多くあります。迷ったときに、チーズとワインの産地を合わせてみるのもおすすめです。
3. 塩味・酸味・甘味のバランスを考える
塩味の強いチーズには濃厚な果実味や甘味のあるワイン、クリーミーなチーズには爽やかな酸味のあるワインなど、異なる味わいを組み合わせることで、お互いの魅力を引き立てられます。
ここからは、身近な定番チーズから本格派・個性派チーズまで、実際に試しておすすめしたいワインとの組み合わせをご紹介します。
定番チーズに合うおすすめワイン
スーパーで手に入りやすいカマンベールやクリームチーズなど、普段の食卓に取り入れやすい定番チーズからご紹介します。
カマンベールに合うワイン

白カビタイプの代表格として親しまれているカマンベール。クリーミーでまろやかな味わいが魅力ですが、表皮にはほんのりとした苦味もあります。
ワインを合わせることでクリーミーさがさらに引き立ったり、表皮の風味まで心地よく楽しめたりと、組み合わせによる変化を感じやすいチーズです。
ピノ・ノワール
ピノ・ノワールの酸味と果実味が、カマンベールのクリーミーな味わいと好相性。
実際に合わせるとチーズのまろやかさがより広がり、なめらかな口当たりを楽しめます。赤ワインながら重たすぎず、カマンベールの繊細な風味にも寄り添う組み合わせです。
ラヴ・ユー エクストラ・ドライ
軽やかな泡立ちとカマンベールのコクを楽しめる組み合わせ。
スパークリングワインの爽やかさがチーズのクリーミーな味わいをすっきりとまとめてくれるので、食事の始まり(アペリティフ)や気軽なおつまみにおすすめです。
クリームチーズに合うワイン

なめらかでクセが少ないクリームチーズは、さまざまなワインと合わせやすいチーズです。
ワインによってデザートのような味わいになったり、さっぱりとした前菜のように楽しめたりと、組み合わせによる変化も魅力です。
天使のアスティ
マスカットの華やかな香りとやさしい甘味を持つ「天使のアスティ」。
クリームチーズの旨味やほんのりとした塩味にワインの甘味が加わると、まるでレアチーズケーキのような味わいに。デザート感覚で楽しみたいときにおすすめの組み合わせです。
ラ・フォルジュ・エステイト カベルネ・ソーヴィニヨン
しっかりとした果実味のある赤ワインと合わせると、クリームチーズがさらにクリーミーに。
ベリーを使ったスイーツのような味わいになるので、クラッカーやドライフルーツなどを添えて楽しむのもおすすめです。
キュヴェ・マリー・クリスティーヌ プロヴァンス ロゼ
爽やかな酸味とフルーティな味わいを持つロゼワイン。
クリームチーズと合わせることで、塩味・甘味・酸味のバランスが整い、さっぱりとしたペアリングを楽しめます。
モッツァレラに合うワイン

クセが少なく、ミルキーでフレッシュな味わいのモッツァレラには、軽やかで爽やかな白ワインがおすすめです。
なお、今回合わせたのは、「モッツァレラ・ディ・ブーファラ・カンパーナ」という水牛乳から造られるチーズです。「ブーファラ(Bufala)」とはイタリア語で水牛のこと。牛乳製のモッツァレラに比べてミルクの風味が豊かで、噛むと中からミルクがあふれるようなジューシーさがあります。
エスト エスト エスト ディ モンテフィアスコーネ
フレッシュで軽快な白ワインが、モッツァレラのやさしいミルク感を引き立てます。
そのまま食べるだけでなく、塩やコショウ、オリーブオイルをかけると、さらにワインと合わせやすくなります。トマトを添えてカプレーゼにするのもおすすめです。
ブルーチーズに合うワイン

青カビ特有の風味としっかりとした塩味を持つブルーチーズ。個性が強い分、濃厚な果実味や甘味を感じるワインを合わせることでバランスが取りやすくなります。
アクツェンテ ドルンフェルダー モーゼル
ブルーチーズの塩味がワインになじむことで、「ブルーベリーソースのような旨味」に。ブルーチーズの個性を楽しみながら、果実味とのコントラストも味わえるペアリングです。
チェダーチーズに合うワイン

コクとほどよい塩味があり、熟成するほど濃厚さが増すチェダーチーズには、果実味のしっかりした赤ワインがよく合います。
メタル カベルネ・ソーヴィニヨン
力強い果実味を持つカベルネ・ソーヴィニヨンと、チェダーチーズのコクが好相性。
チーズの濃厚な旨味とワインの味わいが重なり、満足感のあるペアリングになります。
スモークチーズに合うワイン

燻製の香ばしい風味が特徴のスモークチーズ。一見どんなワインにも合いそうですが、実際に試してみると意外と組み合わせを選びます。
マッチすると香ばしさを活かしたペアリングが楽しめます。
ラ・フォルジュ・エステイト シャルドネ
スモークの風味によって、もともとのワインがさらにしっかり樽熟成したように感じられ、チーズの旨味もより豊かに味わえました。
フェウド・アランチョ グリッロ
果実味豊かなグリッロにスモークチーズを合わせると、まるで樽熟成した白ワインのような深みのある印象に。
チーズのまろやかな旨味とワインの果実味が重なり、ボリューム感のある味わいを楽しめます。
ブルゴーニュ シャルドネ
スモークチーズと合わせることで、白ワインに樽熟成を思わせるようなコクとまろやかさが加わります。
チーズの香ばしさとシャルドネの味わいが自然になじむ組み合わせです。
カントドーロ
しっかりとした果実味を持つ赤ワインとスモークチーズの組み合わせ。
スモークの風味がよりふくよかに感じられ、ワインの余韻も長く楽しめます。お互いの味わいを強め合う、存在感のあるペアリングです。
ちょっと本格派のチーズに合うおすすめワイン
定番チーズに慣れてきたら、少し本格的なチーズにも挑戦してみませんか。
ここでは、チーズ専門店やデパートで見かけるチーズとおすすめのワインをご紹介します。
パルミジャーノ・レッジャーノに合うワイン

「イタリアチーズの王様」とも呼ばれる、パルミジャーノ・レッジャーノ。イタリアのエミリア・ロマーニャ州を中心とした限られた地域で造られるハードタイプのチーズです。
長期熟成によって旨味が凝縮され、噛むほどに豊かな香りと甘味が広がります。断面に見える白い粒は、熟成によって生まれたアミノ酸の結晶。ジャリッとした食感も、熟成したパルミジャーノ・レッジャーノならではの楽しみです。
コンチェルト ランブルスコ レッジアーノ セッコ
おすすめは、パルミジャーノ・レッジャーノと同じエミリア・ロマーニャ州で造られる赤の微発泡ワイン「ランブルスコ」。
ほろほろと崩れるチーズの食感に、ワインの細かな泡が加わることで、口当たりがなめらかに。パルミジャーノの凝縮した旨味とワインの果実味が重なり、余韻まで楽しめます。
同じ土地で生まれたもの同士を合わせる「同郷ペアリング」の代表例としてもおすすめです。
シャウルスに合うワイン

シャウルスは、フランス・シャンパーニュ地方で造られる白カビタイプのチーズです。
バターを思わせる濃厚な旨味と軽やかな酸味があり、きめ細かく口どけのよい食感が特徴。カマンベールのように平たくないため、熟成しても中心部に「チョーク」と呼ばれる白い芯が残ることがあります。
中心部はほろほろとして爽やか、熟成した外側はとろりとクリーミー。同じひとつのチーズの中で、異なる食感や味わいを楽しめるのもシャウルスの魅力です。
シャブリ ラ・ピエレレ
シャウルスの町はシャンパーニュ地方の南部にあり、そのさらに南にはシャブリの産地があります。
キリッとした酸味を持つ辛口のシャブリは、シャウルスのほどよい酸味と好相性。特に、まだ熟成が進みすぎていない若いシャウルスと合わせると、爽やかな味わいを楽しめます。
ロックフォールに合うワイン

ロックフォールは、フランス南部で羊乳から造られる青カビタイプのチーズ。「世界三大ブルーチーズ」のひとつとして知られています。
しっかりとした塩味と青カビ特有のピリッとした刺激がありながら、口当たりはねっとりとして濃厚。2000年以上の歴史を持つともいわれる、フランスを代表するチーズのひとつです。
熟成はロックフォール・シュール・スールゾン村にある洞窟で行われます。洞窟には「フルリーヌ」と呼ばれる自然の通気孔があり、熟成に適した温度や湿度を保つ役割をしています。
プティ・ギロー
ロックフォールの王道ペアリングといえば、甘口ワイン。
極甘口のソーテルヌ「プティ・ギロー」の豊かな甘味と酸味が、ロックフォールの強い塩味や濃厚な旨味と重なります。
「塩味の強いチーズ × 甘口ワイン」という、味わいのコントラストを楽しめる贅沢な組み合わせです。クルミや蜂蜜を添えたロックフォールと一緒に楽しむのがおすすめです。
シャトー・グリヴィエール
甘口だけでなく、熟成感のある赤ワインもロックフォールと楽しめます。
ボルドーの赤ワインがロックフォールのピリッとした塩味をやわらげ、濃厚な味わいを包み込むように調和。ブルーチーズと赤ワインを合わせてみたい方におすすめのペアリングです。
個性派チーズに合うおすすめワイン
ここからは、香りや味わいにしっかりと個性のあるチーズをご紹介します。
ウォッシュタイプやシェーブルタイプなど、少しクセのあるチーズも、ワインと合わせることで驚くほど食べやすくなったり、旨味がより引き立ったりします。チーズ好きの方にぜひ試してほしい組み合わせです。
ウォッシュタイプ
ウォッシュタイプとは、熟成中に表面を塩水やお酒などで洗いながら造るチーズのこと。独特の強い香りを持つものが多い一方、中身はとろりとクリーミーで、濃厚な旨味を楽しめます。
エポワスに合うワイン

フランス・ブルゴーニュ地方のエポワス村で生まれたウォッシュタイプのチーズです。
最大の特徴は、その強烈な香り。熟成の途中から「マール・ド・ブルゴーニュ」と呼ばれるブドウの搾りかすから造った蒸留酒で表面を洗い、最終的にはマール100%で仕上げます。
香りはかなり力強い一方で、中身はとろりとなめらか。熟成が進んだものはスプーンですくって食べるほど柔らかくなり、ミルクの甘味と濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。強い個性から「チーズの王」とも呼ばれる、ファンの多いチーズです。
ジュヴレ・シャンベルタン ヴィエイユ・ヴィーニュ
おすすめは、同じブルゴーニュ地方で造られる赤ワイン。
エポワスの力強い香りがワインと合わさることで、香りの印象が旨味へと変化します。チーズの濃厚な味わいを赤ワインがしっかりと包み込む、同郷ならではのペアリングです。
ラングルに合うワイン

ラングルは、フランス・シャンパーニュ地方南東部のラングル高原を原産とするウォッシュタイプのチーズです。
最大の特徴は、上面にある「フォンティーヌ(泉)」と呼ばれるくぼみ。通常、チーズは熟成中に上下を返しますが、ラングルは一度も反転させずに熟成させるため、自然と中央がくぼんだユニークな形になります。
濃厚な味わいながら、舌の上ですっと溶けていくようななめらかな食感も魅力です。
さらに通な楽しみ方として、このくぼみにシャンパーニュやマールを少量注いで食べる方法もあるそうです。
ランソン ブラック クリエイション
同じシャンパーニュ地方で造られるシャンパーニュとのペアリング。
繊細な泡がラングルのほろほろとした部分をやさしく溶かし、チーズの酸味や塩味が豊かな旨味へと変わります。
濃厚なウォッシュチーズを、泡ですっきりと楽しめる組み合わせです。
シェーブルタイプ
シェーブルとは、山羊乳から造られるチーズのことです。
爽やかな酸味と独特の風味が特徴で、特にフランス・ロワール地方では多くのシェーブルチーズが造られています。ワインも同じロワール地方の爽やかな白を合わせると、きれいにまとまりやすいのが特徴です。
クロタン・ド・シャヴィニョルに合うワイン

クロタン・ド・シャヴィニョルは、フランス・ロワール地方のシャヴィニョル村を代表するシェーブルチーズです。
若いうちは爽やかな酸味でフレッシュな味わい。熟成が進むにつれて栗を思わせるほろほろとした食感とほのかな甘味がでて、味わいが少しずつ濃厚になっていきます。
ちなみに「クロタン」という名前の由来には、「馬糞」を意味する言葉から来たという説と、この地方で使われていた「クロット」というランプに形が似ていたからという説があります。
現地では、軽く焼いてサラダにのせて食べるのが人気です。
サンセール 白
シャヴィニョル村は、サンセールの丘のふもとに位置しています。
同じ土地で造られるサンセールの白ワインと合わせると、チーズとワインそれぞれの爽やかな酸味が調和。
酸味が豊かで爽やかな味わいの若いクロタンと相性抜群の同郷ペアリングです。
サント・モール・ド・トゥーレーヌに合うワイン

サント・モール・ド・トゥーレーヌは、薪のような細長い形が特徴的なロワール地方のシェーブルチーズです。
中心には1本の藁が通されていて、この藁には生産者を識別する情報が記されています。見た目にもユニークな、シェーブルを代表するチーズのひとつです。
若いうちは爽やかな酸味があり、熟成が進むにつれてまろやかなコクやナッツのような風味が生まれます。
熟成具合によって合わせるワインを変えるのも楽しみ方のひとつ。若いものにはロワールの白ワイン、熟成したものには同郷のシノンなどの赤ワインがよく合います。
サンセール シレックス 白
ミネラル感のしっかりとしたサンセールの白ワインとの組み合わせ。
ワインとチーズそれぞれが持つ酸味が重なり、口の中では爽やかさだけでなく旨味として感じられます。
シェーブル特有の風味を生かしながら楽しめる、ロワール地方らしいペアリングです。
ワインと相性がよくなかったチーズは?
チーズとワインは相性のよい組み合わせとして知られていますが、すべてのチーズがワインに合うとは限りません。
いろいろ試した中で、特に合わせにくかったのが「チータラ」です。
チーズを使った定番のおつまみなので、ワインにも合いそうですが、実際に合わせてみると相性はいまひとつ。
ワインの酸味が強く感じられたり、タラの風味が磯っぽく感じられたりして、チータラそのものの旨味も感じにくくなる印象でした。
まとめ
チーズとワインの組み合わせに、ひとつだけの正解があるわけではありません。
まずはカマンベールやクリームチーズなど身近なチーズから試して、慣れてきたらシャウルスやロックフォール、エポワスなど、少し個性のあるチーズにも挑戦してみるのがおすすめです。
味わいの強さや産地、塩味・酸味・甘味のバランスを意識すると、自分好みの組み合わせも見つけやすくなります。
ぜひ気になるチーズとワインを合わせて、ペアリングによる味わいの変化を楽しんでみてください。