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ワインのキホン

ワインボトルの底にたまるオリ

ワインボトルの底にたまるオリ

ワインの瓶底に何かの沈殿物が…それは「オリ」かもしれません。

ワインの瓶底に何か沈殿物がたまっているのを、目にされたことはありませんか。

初めて、このモヤモヤしているものを見たらびっくりされると思いますが
これは『澱(オリ)』と呼ばれるものです。

特にボトルのまま長期間寝かせたような古酒には、大量のオリが発生していることがあります。

ワインの成分が沈殿物として現れたものですので、ご心配はいりません。

オリには色の薄いものもあれば、濃いものもあり、大きさもまちまちです。決まった形もありません。

こちらは収穫から10年ほど経っている白ワインのオリ。結構な量です。
瓶底に沈殿しているほか、液中にも小さなオリが舞っているためワインが濁って見えます。

4時間後・・・
オリが沈むとワインの濁りがなくなりました。

オリは一旦舞い上がると再び沈むまで数時間~数日かかることがあります。
オリのあるワインの瓶は、むやみに傾けたり振動を与えると濁ってしまいますので、やさしく、注意深く取り扱ってくださいね。

こちらは赤ワインのオリ。

白ワインほど見やすくありませんが、ワインの底に塊やモヤモヤしたものが見えます。

ワインは不思議なお酒で、瓶に詰められた後も熟成し続けるという性質をもったお酒です。

熟成が進む過程で、ワインの液中に溶け込んでいる成分が
徐々に目に見える不溶性の物質として現れたものが「オリ」となって沈殿していきます。

ワインに含まれている成分の中には、「タンパク質」、渋み成分である「タンニン」、
「ポリフェノール」、「酒石」、赤ワインの色素成分である「アントシアニン」・・・など様々なものがあります。

このオリが沈殿した状態は、余分な渋みが抜けた状態とも言えるのです。

その上澄みであるワインは程良くまろやかになっています。
もともとワインの成分として溶け込んでいたものですので、健康に害を与えるものではありませんが、
口に入るとザラついたり、違和感がありますのでグラスに入らないようご注意ください。

なお、瓶詰めの際にあらかじめ「オリ」や「酒石」を取り除く目的でフィルターを使用しますが、
目の細かいフィルターを使用するとワイン本来の風味を損なってしまうこともあります。

「旨味」をたっぷり残したい!という生産者はろ過をしないこともあります。

「ノンフィルター」を謳っているものは、あえてこのフィルターを使わずタンクの中でオリを沈殿させ
その上澄み部分を瓶詰めしたワインなんです。

オリが発生しているワインを飲む時には、瓶底に沈むまでしばらく瓶を立てておきましょう。
振動を与えないよう静かに栓を抜き、そっと、そっと・・・

オリが舞い上がらないよう、愛情を込めて静かにグラスへ注いでください。。。

ちなみに、まじまじと見ることはありませんが、ワインボトルの瓶底の中心がくぼんでいるのは
ワインをグラスに注ぐ時に瓶底に沈んだオリを舞い上がりにくくするためなんです。
・・・ちゃんと考えられているんですね。

オリのあるワインも、扱い方が分かれば美味しく頂けます♪

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