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ソムリエの選んだ、『おうち中華』に合うワイン

ソムリエの選んだ、『おうち中華』に合うワイン

中華料理にワインは意外な組み合わせかもしれないが、実はこれが合う。そこで王道の中華メニューとの合わせ方をソムリエスタッフが検証した。

中華料理とは

中華料理は、中国で食べられてきた料理、またはその技法や調味料を使用して作られた料理のこと。
中国においても、地方ごとに食材も異なり、調理法や味付けも地域差が大きく、日本を含め世界的に広く普及し、また現地化も進んでいます。

中華料理に共通する性格を挙げることは難しいですが、元代以降の中国では火を通した温かい食事をとることが重視されてきたため、中華鍋を使い、日本料理や西洋料理に比べて強い火力を用いる炒め物が目立ち、油(ラード、ごま油など)を多用する料理が多いという傾向があります。

日本においては、四大中国料理と言う分類が一般的で、東西南北で分かれます。
東側は上海料理、八宝菜や小籠包など甘みが強いのが特徴です。西側は四川料理、麻婆豆腐やサンラータンなど香辛料を多く使った辛い料理が有名です。南側は広東料理、シュウマイやチャーシューなど優しい味わいの料理は日本でも人気ですね。北側は北京料理、北京ダックや水餃子が挙げられます。

---- Wikipedia「中華料理」引用(2018年10月現在)

私の中華×ワイン

「中華のときは、ロゼワインがええんよ。なんにでも合う」
ワインを学び始めた頃、私は先輩社員からそう教えてもらった。

当時私は中華料理にはビールや紹興酒だと思い込んでいた。そのどちらも苦手にしていた私は、それ以来、何も疑うことなくロゼワインを合わせるようになった。赤ワインのコクと白ワインの爽やかさのいいトコ取りをするロゼは、どんなジャンルの料理ともケンカしない。ワインを合わせるのが難しそうだと思っていた中華にも、もってこいの存在と言える。ロゼ・スパークリングをチョイスしたなら、それこそ最強。しゅわしゅわ心地よい泡が、油を多用する中華料理ならではのオイリーさをするっと流してくれ、口の中を何度でもリセットしてくれる。それはもう箸が止まらなくなる組み合わせだ。ほら思い出しただけで、のどが鳴ってきた。

変化する、『おうち中華』事情

最近は家庭での食事が見直され、自宅で料理を作る楽しさに注目が集まっているという。「和・洋・中」と言われるほど、私たち日本人に親しまれている中華料理。「おうちごはん」に、中華が登場することも多い。餃子やエビチリ、チャーハン、酢豚、麻婆豆腐に八宝菜、どれも食卓でなじみある料理だ。家庭で簡単に楽しめる手間いらずの合わせ調味料や、中華のお総菜コーナーも相変わらずの人気ぶり。そんな “おうちごはん中華” に響き合うワインを、ソムリエを含むスタッフ数名とマリアージュ検証していくことにした。ひとまず日々の食卓に溶け込むような、価格もそれほど高くない手頃なワインをピックアップ。ロゼが万能選手であることはおそらく間違いないので、ロゼ以外のワインをなるべく多めに用意した。それらに合わせて、誰にでも愛されるオーソドックスな中華料理を並べてのペアリング。果たして結果はいかに。

エビチリ(海老のチリソース) × 赤ワイン

エビのぷりぷり感がたまらない、チリソースとエビが絶妙に絡み合う極上のハーモニー。そんなエビチリによく合ったのは、南イタリアの果実味あふれる赤ワイン、「イル・プーモ プリミティーヴォ(生産者:サン・マルツァーノ)」。渋みであるタンニンがほどよくワインに溶け込み、スムースな口当たりでほんのり甘みも感じられる赤だ。

エビのプリッとした食感と甘みに、プリミティーヴォ種らしい完熟フルーツのフレーバーがよく合う。濃い味わいのチリソースと、ワインのボリューム感とのバランスが抜群の組み合わせだ。ワインに酸味も甘味も適度に感じられるので、辛味の他に甘酸っぱさが加わったソースとうまく調和する。心地よいタンニンがソースの辛みをいい塩梅に包み込むので、ほどよい辛みの刺激とワインの果実味が余韻にやわらかく広がる。香味野菜の旨みも強いエビチリは、このワインに含まれるローズマリーなどのハーブのニュアンスとも綺麗にマッチする。

春巻き × オレンジワイン

外側サックリ、中身ジュワ~。パリっと感がたまらないサクサクの皮と、コリコリしたタケノコの食感。揚げたてなら何本でもいけそうな春巻きと好相性だったのは、今注目されているオレンジワイン、「アート・テッラ クルティメンタ(生産者:カザ・レウヴァス)」。以前、うなぎに合うワインでも登場したワインだ。オレンジワインとは、白ワイン用のブドウを赤ワインと同じ手法でつくったもの。果皮由来のタンニン分が感じられ、独特の風味が楽しめる。白でもなく赤でもなく、ロゼとも違うオレンジワイン。特にこのワインはオレンジワインの入門にふさわしく、軽快で飲みやすいスタイルに仕上がっている。

エビや豚肉がたっぷりで、いい出汁をふくむ春巻きの餡と、オレンジワインの旨みがよく合っていて美味しい。しっかりと具材が詰まった春巻きは、小ぶりながらも食べ応えがある。それに対して、ワインのボリューム感がそれはもうよく合っている。アプリコットや熟したニュアンスのワインに、アツアツの餡の甘みがとてもいいバランス。それだけでなくオレンジワイン特有のちょっとした渋味が、歯触りのよい皮の香ばしさやタケノコのほのかな苦味とマッチして、丁度よいアクセント。春巻きの美味しさをワインが見事に引き出した、無限ループできる組み合わせだ。

さらに揚げ物とのマリアージュをする際、ワインに酸味は欠かせない要素。このワインのフレッシュな酸味のおかげで、春巻きの油が口にしつこく残らず、食べ疲れしないのも魅力だ。もはや言うことなし。

回鍋肉(ホイコーロー) × 赤ワイン

「回鍋肉」という字面から、鍋をガンガン振り回して作る料理なのかと思いきや、どうも由来は違うらしい。もともとの回鍋肉の作り方は次のようなものだ。ひとつの鍋でかたまり肉を茹でるか蒸すかしたら、いったん取り出し、その肉を薄くスライスしたのちに再び鍋に戻して焼き目をつける。さらに肉を取り出したなら、今度は醤(ジャン)と合わせて炒める、とこのように何度も肉が鍋へ出入りすることから「回る鍋の肉」と呼ばれるのだそうだ。

日本の家庭で食されるのは、本場に比べて甜麺醤(テンメンジャン)を多めに使った甘辛い味が主流だ。豚肉の旨みとシャキシャキしたキャベツの甘みが、香ばしく炒めた豆板醤と甜麺醤、豆豉(トウチ)のコクで一層引きたてられる、これぞ旨みの極み。そんな回鍋肉とマリアージュするのは、スペインの赤ワイン「バラオンダ バリカ(生産者:バラオンダ)」。バリカとはスペイン語で“樽”を意味し、その名の通り樽熟成されたワイン。力強さとストラクチャーを持つ地品種モナストレルに、フレッシュ&フルーティでエレガントなシラーをブレンド、複雑味も兼ね備えている。言うなれば “果実味と樽感が両立”した、欲張りワインだ。

ワインの果実味とやわらかさが、回鍋肉の甘辛な味付けにマッチして格別。甜麺醤の甘みと果実の甘みがピタッと合っている。濃い味付けとワインの果実味が、なかなかいい。豚バラ肉の脂分をワインがまろやかにし、全体の味わいがグッと格上げされる組み合わせ。お互いのボリューム感も丁度よい。独特の中華スパイスの風味にワインの樽感がうまく絡まり、肉・野菜の旨みがしっかりと感じられる。うん、美味い。

ちなみに、先ほどのエビチリで登場したプリミティーヴォの赤ワインも、この回鍋肉とはよく合っていた。

餃子(ギョーザ) × スパークリングワイン

いまや日本人にとって欠かせないソウルフードにまで昇華した餃子。皮はしっとり、焼き面はサクッと、一口かめばモッチリ感。皮に包まれた肉がもちもちとジューシーで、肉の旨みと野菜の甘みの調和が絶妙。そこにニンニクとニラの食欲そそる匂いがふんわりとまとう。肉汁がたっぷり閉じ込められているので、食べるときはヤケドに注意。これにビールを合わせるだけじゃ勿体ない。

ここでは “餃子×スパークリング” の最強コンビを紹介したい。合わせたのは、「バルディビエソ ブリュット(生産者:バルディビエソ)」。きめの細かいキレイな泡立ちと、オレンジのような柑橘の香りを楽しめる非常に爽やかで飲みやすいスパークリングワインだ。

のどの渇きを癒してくれるシンプルな美味しさが持ち味なワインだけに、ゴクゴク、バクバク進む。ほどよい爽やかな酸味で、餃子の旨みが格段にアップ。これは病みつきになる組み合わせ。スッキリ辛口の味わいが、肉の甘みを引き出してジューシーさを際立てる。餃子に入っている香味野菜のアクセントを、ワインの果実味が完璧に引き立ててくれるのも見逃せない。心地よい泡が油分を洗い流して、口の中はスッキリ、後味が一気に爽快に。いったん口にしたら止め処なく手が出てしまう、反則級の美味しさ。

麻婆豆腐(マーボー豆腐) × 白ワイン

豆板醤のピリリとした辛さの奥に、旨みをしっかりと感じる鉄板グルメな逸品。いかにも中華!な存在、定番の麻婆豆腐はおさえておきたい料理のひとつ。ニンニクと唐辛子の効いた香りが食欲をそそり、肉も豆腐もたっぷりで見た目もお腹も大満足。お好みで花椒のしびれる感覚も楽しめる。旨辛な味わいがクセになる麻婆豆腐には、爽やかなドイツのやや甘口ワイン「エッセンス リースリング(生産者:S.A.プリュム)」。透き通った酸味にほどよい苦味が心地よく、フレッシュな果実感の奥に白桃やハチミツ、花梨を想わせるボリューム感もあるワインだ。

とろりとした食感の麻婆豆腐には、まろやかなワインが好相性。ひき肉から出る濃い旨みに合わせて、少しボリュームのあるワインがオススメ。なおかつ酸味があるものは、濃い味付けでも口の中をすっきりさせてくれる。このワインは、こういった濃い味と好相性なのが特長だ。果実の甘みが、麻婆豆腐の辛みや花椒の刺激をやさしく包み込んで、辛さの中にある旨みをグッと高めてくれる。おまけにレモンのような繊細な酸味のおかげで、後口も心地よくフィニッシュする。この綺麗な酸が、旨辛な麻婆豆腐の絶妙なアクセントになっており、間違いなく食欲増進するマリアージュ。

青椒肉絲(チンジャオロース) × ロゼワイン

ここまでロゼワイン以外を見てきたが、いよいよとっておきのロゼをご紹介。

ピーマンやパプリカ、タケノコといった野菜のシャキシャキした食感と、オイスターソースを使った濃厚な味わいが人気の青椒肉絲。野菜の甘みと肉の旨み、ダブルでジューシーなこの料理には、主役に豚肉を使う家庭もあれば、牛肉が使われることも。豚肉を使った青椒肉絲では、豚肉の甘みとピーマンの風味が前に出てくるので骨格のしっかりしたロゼワインが活躍する。一方で牛肉の場合は肉の主張が強くなるため、コクのある赤ワインが合わせやすい。濃いピンク色したボルドー産ロゼワイン、「シャトー・ド・パランシェール ボルドー・クレーレ」なら、そのどちらにも万能に合う。

このワインは、ロゼワインの中でも特別なスタイル。しっかりした酒質をもちながらも、フレッシュさに溢れている。口当たりはなめらかで柔らかく、肉厚。青椒肉絲の野菜の風味と肉のコク・うまみには、やさしくて程よい濃さのあるこうしたワインがピッタリだ。特にオイスターソースの味が前面にでた料理は、熟成した調味料特有の土っぽい風味が感じられるので、若いうちから土の香りが感じられやすいメルロー種のワインが絶妙に合う。食べ進めて油っぽさを感じてくる頃、ちょうどいい具合にワインの酸味がリセットしてくれ、不思議といくらでも入ってしまう。あらためて「中華×ロゼ」はいいな、と思わずニンマリ。

中華料理とワインのマリアージュ、いかがだっただろうか?

日々のおうちごはんにワインがあれば、おいしさも楽しさも倍増する。ワイン選びに迷ったら、まずは私のようにロゼワインを試してみてもいい。ワイン×おうちごはん、気軽な中華マリアージュにあなたも酔いしれてはどうだろうか。そうそう、最後に。この実食でもロゼのスパークリングはどの中華とも相性が良かったということをつけ加えておきたい。

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