プーリア州の特徴
プーリア州はイタリア半島のかかと部分にあたる、南北に長い州で、州都はバーリ。
雨が少なく、夏には突き抜けるような青空の好天が続く。見渡すかぎりの平地が続き、オリーブの古木がロードサイドに点在。南国のパームツリーが風になびく街並みは甘くメロウな雰囲気に満ちて、アメリカでは俗に『ヨーロッパのフロリダ』と呼ばれる人気のリゾートである。
ハリウッドスターのマット・デイモンや歌手のマドンナも訪れ、歌手のジャスティン・ティンバーレイクに至っては、プーリアをこよなく愛し、結婚式を挙るなど、セレブリティの心を掴んで離さない。
豊かな農業州で、トマト、小麦粉の生産量はともにイタリアトップ。特にパスタの原料となるデュラム小麦は、品質の良さにも定評がある。
そして何と言ってもオリーブの生産量、それに従ってオリーブオイルの生産量もイタリア一位である。プーリアのオリーブオイルは、温暖な気候と豊富な日照量により、実が良く熟れるので、香りは穏やか、味わいはまろやかで甘みさえ感じるほど。料理にはプーリアのオリーブオイルがよく合う。
食の名物
プーリアは野菜が豊富で、トマトやキャペツ、春先にはソラマメも生で食べることができる。そして生の魚・貝も食す。甘えびにオリーブオイル、レモンに少量の塩を振れば立派なプーリア料理だ。
巾着状の衣の中にクリームチーズとモッツァレラが入っている名物のブッラータチーズ、新鮮な出来たてがお勧め。パスタは耳たぶ型のオレキエッテが有名。小麦粉が有名な為、野菜や魚介のフリットなども多く、日本人には受け入れやすいシンプルな料理が特徴である。
プーリアワインの歴史
紀元前に交易の拠点として栄えてたプーリアは、ギリシャとイタリア半島が交易するうえでの玄関口だった。ターラントやプリンディッチといった港町がローマと深くつながっていた。ギリシャの影響からブドウ栽培の歴史は古代ローマよりも古く、温暖でのんびりとした空気の中盛んに行われてきた。
プーリアはシチーリアと同じく、以前はブレンド用ワインの産地であり、北イタリアやフランスへ、多くは瓶詰めされることなくタンクの状態で売却されていた。
2000年に入ると、生産協同組合の中でも野心的な生産者が、自社で瓶詰めをして、優れたマーケティングを駆使し、国外に打って出るものが多く出現する。元来、抜群の気象条件で、ワインの品質は極めて高く、物価の安い南イタリアにあって、価格はリーズナブル、故に世界中で愛され、現在、プーリアワインはブームと言っていいほど。2018年の統計では、ワイン生産量はエミリア・ロマーニャ州を抜き、首位ヴェネト州に続くイタリア第2位である。
プーリアワインを知る第一歩としてお勧めは、州の中央部の世界文化遺産、フリードリヒ2世が建立したミステリアスな八角形の城、カステル・デル・モンテの近郊で造られる、その名もカステル・デル・モンテ・ロッソ。カステル・デル・モンテのリーディングカンパニーの一つトッレ・ヴェント社の、ヴィーニャ・ペダーレは、ワインガイドから常に高い評価を得る銘醸。スタイリッシュで洗練された味わいだ。
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代表的なブドウ品種
ネーロ・ディ・トロイア
州北部にあるトロイア村(フォッジャ県)が起源とされる赤ワイン用の品種。ギリシャ神話でトロイを破壊したディオメーデスがこの品種を発見したとする逸話でも知られている。近年まで「ウーヴァ・ディ・トロイア」(トロイアのブドウ)と呼ばれていたが、シチーリア州のネロ・ダーヴォラの流行に触発されて既にこの地域での呼び名となっていたネーロ・ディ・トロイアに改名された。
晩熟な性格で北部の限定された地域で栽培されており、タンニンの豊富な濃厚な赤ワインになる。
プリミティーヴォ
サレント半島(ブーツのかかと部分)の西部で主に栽培されている。カリフォルニアでは「ジンファンデル」という名前で知られる品種で果実味が強くて舌触りがよく、アルコール度数の高いワインを生む。プーリアにおいて最初に熟す(ラテン語でprimativus)ことから名づけられいるが、もともとはクロアチアのダルマチア地方に由来のあるTRIBIDRAG種のことで、それがプーリアに伝わり何らかの方法でアメリカにも渡っていった。
ネグロ・アマーロ
州で最も重要な品種。南部のサレント半島で主に栽培されていて「ネグロ」「アマーロ」がそれぞれラテン語とギリシャ語の「黒い」の意味でブドウの色に由来しているという説や、「黒い」「苦い(アマーロ)」を語源とする説などがある。どちらにしても色が濃く、タンニンの強い赤ワインや、爽やかで輪郭のはっきりとしたロゼワインを生む。
代表的なワイン
温暖なプーリアは、ワインは濃厚で芳醇なスタイルの赤ワイン産地として知られている。州南部の赤ワインがその代表例で、北部の代表銘柄『カステル・デル・モンテ』はやや対照的にエレガントな酒質になる。
カステル・デル・モンテ(北部)
良質なタンニンに美しい酸の「州で最もエレガントなワイン」である。
『カステル・デル・モンテ』は世界遺産となっている城の名前で13世紀にフリードリヒ2世(イタリア名:フェデリコ2世)が建立した。城ではあるが戦うための設備はなく、建てられた理由は謎に包まれている。塔や中庭の形など全てが八角形であることもミステリーを感じさせる遺跡である。
このカステル・デル・モンテを中心にした一帯が3つのDOCGの赤ワインとロゼワインの産地に認定されていて、
- カステル・デル・モンテ・ボンビーノ・ネーロ(赤・ロゼ/ボンビーノ・ネーロ90%以上)
- カステル・デル・モンテ・ネーロ・ディ・トロイア(赤/ネーロ・ディ・トロイア90%以上)
- カステル・デル・モンテ・ロッソ・リゼルヴァ(赤/ネーロ・ディ・トロイア65%以上)
がある。
プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア(南部)
濃厚でボリューム感のあるまろやかなDOCの赤ワインである。プリミティーヴォ85%以上で造られる銘柄で、古代に南イタリア一帯をギリシャが支配していた頃からの銘酒だ。乾燥させたプリミティーヴォを100%使用した甘口は『プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・ドルチェ・ナトゥラーレ』となりDOCGに認定される。
ロゼワイン
プーリアがイタリアで初めてロゼワインを生産した州であることはぜひ記憶しておきたい。今でも州全体でロゼワインの生産が行われていて、フランスのプロヴァンス産のように薄い色合いの冷えたロゼワインが暑い夏の風物だ。
その他のおすすめワイン
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赤
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2020
Azienda Agricola Conti Zecca
アジィエンダ・アグリコーラ・コンティ・ゼッカ
Cantalupi Riserva Conti Zecca
カンタルピ リゼルヴァ コンティ・ゼッカ
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2021
Torrevento s.r.l.
トッレヴェント
Vento Rosso P (Primitivo IGT)
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